2018 Fiscal Year Research-status Report
筋作動因子-尿毒症物質クロストークを標的としたCKD誘発サルコペニアの治療戦略
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18K15069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
榎木 裕紀 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (50813854)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サルコペニア / 慢性腎臓病 / 筋作動因子 / 尿毒症物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、慢性腎臓病誘発サルコペニアにおける筋作動因子および尿毒症物質のプロファイルによる病態構造を基盤としたサルコペニアの予防・診断ならびに新規治療戦略を構築するための基盤的情報を明らかにすることである。そのため、本年は、慢性腎臓病誘発サルコペニアモデルマウスを用いて、骨格筋萎縮病態形成の経過について検討し、それに伴う筋作動因子の変動について検討した。慢性腎臓病モデル作製後、4、8、12週と経過するに伴い、体重、腓腹筋、前脛骨筋、ヒラメ筋の重量が減少した。また骨格筋萎縮関連遺伝子である、atrogin-1遺伝子発現は増加し、骨格筋断面積も減少した。顕著な差は12週から認められたものの、8週目においても上述した筋萎縮関連因子の変動が認められた。また骨格筋ミトコンドリア活性を指標としたコハク酸デヒドロゲナーゼ染色による筋線維タイプの検討において、モデルの経過に従い、ミトコンドリア活性の低下が観察された。慢性腎臓病によって持続的にサルコペニア病態が誘導されていることを確認した。そこで骨格筋における各種筋作動因子の発現について評価した。骨格筋の萎縮や筋タンパク分解との関与が報告されているmyostatinは、経月的に増加していた。しかし炎症因子であるmif発現に変動は認められなかった。一方、骨格筋肥大との関連が報告されている筋作動因子であるirisinについては8週目において一過性の上昇が観察されたものの、12週においては減少していた。また筋肥大作用を有する成長因子であるigf-1に変化はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性腎臓病誘発サルコペニアモデルの作製に成功し、それに伴う筋作動因子の発現について検討できている。すでに尿毒症物質を吸着する活性吸着炭(AST-120)を用いた検討を進めており、今後経過について評価する予定である。以上のことから概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進行中である慢性腎臓病誘発サルコペニアモデルに対するAST-120投与による筋作動因子への影響について評価を行う。また2次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)モデルの作製とSHPT治療薬の筋作動因子の発現に及ぼす影響について検討を進める。In vitro培養細胞を用いた検討により尿毒症物質が筋作動因子発現に及ぼす影響とその発現機序について検討を進める。
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Research Products
(1 results)