2019 Fiscal Year Research-status Report
真菌感染症におけるヒトC型レクチン受容体の役割の解明
Project/Area Number |
18K15193
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米川 晶子 九州大学, 医学研究院, 助教 (30792915)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 真菌症 / C型レクチン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
真菌に対する宿主の免疫応答において、重要な役割を担うパターン認識受容体に、C型レクチン受容体がある。一方、臨床的な背景として、医療の高度化に伴って、近年、真菌感染症は増加傾向にあり、真菌症の制御は大きな課題となっている。本研究を行うにあたっては、最も予後不良な真菌症の一つであるムーコル症(接合菌症)と、真菌症のとして最多のカンジダ症に注目した。 ムーコル症は、日和見感染症として発症する深在性真菌症の一つで、頻度は高くはないものの、重度の免疫不全状態で発症し、急速進行性で、致死的疾患である。本研究課題では、ムーコル症に対するヒト宿主免疫応答の解明を目的としている。In vitroの解析に、ムーコル目の臨床分離保存株を発育させ死滅処理ししたものを準備した。今後は、C型レクチン受容体を中心として、様々な免疫受容体との相互作用を解析していく予定である。 また、C型レクチン受容体の一つであるDectin-2は、主にマウスを用いた研究成果により、抗カンジダ免疫において重要な役割を果たすことが示されているが、ヒトにおいての機能は十分には解明されていない。本研究のもう一つの目的は、カンジダ感染防御機構におけるヒトDectin-2の果たす役割を解析し、その機能を解明することである。カンジダの細胞壁成分や菌体を用いて、健常成人の末梢血から単離したヒト抗原提示細胞を刺激し、ヒトDectin-2を介する自然免疫応答の評価から取り組んでいる。一部リガンドが揃わず解析不十分であるので、今年度以降はさらに解析を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に続いて、申請者が所属施設を移動することとなった。そのため、研究体制を立ち上げ直し、実験環境を整備することに主な時間を割き、十分な研究計画の実行に至らなかった。また、令和2年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の流行によって、ほとんどの時間を診療に費やさねばならず、本課題に取り組むことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画からは遅れたが、申請者の所属施設は本課題申請時に戻り、研究環境は前年度より整っている。接合菌の臨床分離株を処理した検体が準備でき、令和2年度は、それを用いて接合菌に対するヒト免疫応答との解析から進める予定である。また、刺激実験に使用予定であったリガンドの一部が入手できず、ヒトDectin-2による抗カンジダ防御免疫機構についての解析が中断している状況にある。今年度は自施設でリガンドを抽出することも検討しており、リガンドの準備が出来次第、ヒトDectin-2の発現細胞との相互作用について解析していく方針である。
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Causes of Carryover |
今年度請求した研究経費は主に消耗品の購入費として計上していたものである。元来の施設に戻ったことにより、購入の必要性の低い物品が出てきたこと、さらに、前述の通り進捗が遅れている状況から、使用物品が見積もりよりも減少し、平成31年度に未使用額が生じた。令和2年度は、持ち越しの実験項目を進めていくため、生化学的実験器具や培地等の購入に使用する予定である。
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