2018 Fiscal Year Research-status Report
mRNA搭載ナノキャリアを用いたパーキンソン病モデルのドパミン神経再生治療研究
Project/Area Number |
18K15378
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
貴田 浩志 久留米大学, 医学部, 助教 (80529454)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / mRNA / 遺伝子治療 / 直接分化誘導 / ドパミン作動性神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の報告を参考に、ドパミン作動性神経への分化誘導に関与する遺伝子のオープンリーディングフレームを組み込んだプラスミドベクターを複数種、受託合成し、それを鋳型として無細胞系でmRNAを安定的に合成するための実験系を確立した。 生後24時間以内の新生仔マウスの脳組織から採取した、初代培養アストロサイトを安定的に培養と保存凍結する実験系を確立した。それを用いて、合成したmRNAをpAsp[DET]、pAsp[TET]、pAsp[TEP]などの高分子ミセルキャリアおよび市販のリポフェクション用製剤に搭載して、mRNA遺伝子導入を行った。種々のカーゴとキャリアを組み合わせて、ドパミン作動性神経細胞の分化誘導を試みた。しかし免疫染色でドパミン作動性神経神経マーカーの発現は得られず、現時点で分化誘導系は確立されていない。また高濃度のキャリアを遺伝子導入に用いた際に、それによる細胞障害が生じるため、それを回避しつつ、十分量の遺伝子を導入する方法を確立するため、複数の濃度に割り振った導入効率と細胞生存率の評価を行なっている。次年度以降も継続して評価が必要な状態である。 一方で動物実験の実施に向けて、パーキンソン病モデルマウスの作成方法を確立した。8週齢の野生型C57BL/6マウスに対し、吸入麻酔下に定位脳手術によって6-OHDAを片側medial forebrain bundle(MFB)投与した。一定期間の飼育し、行動を観察し、最終的に屠殺し、パラフィン包埋した脳組織標本を作製し、線条体におけるドパミン作動性神経の脱落を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的であるmRNA投与によるドパミン作動性神経の直接分化誘導系の確立まで至っていない。一方で、先行して次年度以降に行う予定であったモデル動物の作成方法を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞実験ではアストロサイト初代培養細胞を用いて、引き続き、適切なドパミン作動性神経の直接分化誘導因子の組み合わせについて検証を行うとともに、細胞生存率解析などにより、毒性評価を行う。動物実験ではモデルマウスの行動解析を行い、症候および治療効果を確認するための実験系の確立を目指す。モデルマウス脳内へのmRNA投与を行い、治療効果の確認を行う。
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Causes of Carryover |
必要な試薬の購入時期が次年度以降になったため、差額が生じた。さらに追加して分化誘導因子の遺伝子を組み込んだプラスミドの合成が必要であり、次年度使用額を使用する予定である。
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