2019 Fiscal Year Research-status Report
マイクロMRIによる剖検脳撮像を利用した脳小血管病の病理研究と臨床MRIへの応用
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18K15446
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石川 英洋 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (00793499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロMRI / 皮質微小梗塞 / 脳微小出血 / 脳表ヘモジデリン沈着症 / 脳小血管病 / 脳卒中 / 認知症 / 白質病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大きく①臨床MRIにおける脳小血管病の評価、②剖検脳MRIによる病変評価、③画像と病理学所見の対応の確立の3要素があり、それぞれについて2019年度実績を記載する。 ①3テスラMRIで検出される皮質微小梗塞の特徴の解析を施行した。第60回日本神経学会、第28回日本脳ドック学会(シンポジウム)、BRAIN and BRAIN PET 2019、International Stroke Conference (LA)で成果を発表した。皮質微小梗塞は大きく脳アミロイド血管症と脳微小塞栓が原因として挙げられる。脳アミロイド血管症は認知症のリスクであり、微小塞栓では脳梗塞のリスクを考える必要がある。これまでMRI上でこれらの診断をすることは不可能であったが、予測スコアを開発し、成因が鑑別可能であることを世界で初めて示した。この研究内容は日本脳卒中学会で学会賞優秀口演賞を受賞し、Stroke誌に掲載された。 ②生体脳とホルマリン固定後の剖検脳ではMRIの緩和特性に差があり、脳の最適な浸漬液、温度、処理条件を調べて良好なMRI画像が得られる撮像パラメーターを同定し、T1強調画像,T2強調画像,Fluid Attenuation Inversion Recovery,T2 star画像の撮像を可能にした。剖検脳のマイクロMRI(3テスラ)撮像では、これまで3テスラMRIでは検出不可能とされた1mm未満の皮質微小梗塞も検出可能であることを見出し、第61回日本神経学会学術集会で発表した。 ③死後の剖検脳マイクロMRIを橋渡しとして病理学的検索を行うことで、病巣の正確な検索、分子機構の評価を行うことが可能になった。背景病理が不明の微小病変の新規知見が複数得られ、一部を2019年11月に日本認知症学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体脳とホルマリン固定後の剖検脳ではMRIの緩和特性に差があり、脳の最適な浸漬液、温度、処理条件を調べて良好なMRI画像が得られる撮像パラメーターを同定するまでに約2年要したが、再現性を持って良好な画像が得られるようになった。画像と病理を対応させるまでの手技は概ね問題がない。今後は、病理学的検索を詳細に行い、画像変化の背景にある分子機構の解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
死後の剖検脳マイクロMRIを橋渡しとして病理学的検索を行うことで、病巣の正確な検索、分子機構の評価を行うことが可能になった。今後は、詳細な病理学的検査によって得られた皮質微小梗塞、脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着症の新規知見をまとめる。本研究の独創的な手法により臨床現場や脳ドックのMRI上で意義不詳の微小病変の分子機構を同定可能にするとともに、病理学的検索で異常を認めた部位がMRI上でどのように描出されているかを確認する双方向性の研究を実現させる。
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Causes of Carryover |
免疫染色を行うための試薬を購入予定であったが、マイクロMRI撮像を終えた剖検脳の数が予定よりも少なかったため。追加のマイクロMRI撮像を終えたのちに、次年度使用額から試薬購入を行うこととしたい。
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Research Products
(10 results)