2019 Fiscal Year Research-status Report
T1w/T2w比画像と領域間時間ずれを考慮したネットワーク解析によるうつ病の研究
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18K15491
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
石田 卓也 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10549728)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | T1w/T2w比画像 / ミエリン / DCM / Granger causal modeling / 安静時脳機能MRI / うつ病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年T1w/T2w比画像を作成するために確立したMRI撮像プロトコルに基づいて、うつ病患者を含めたMRIの被験者の撮像を行なっている。また、T1w/T2w比画像を用いたうつ病の皮質ミエリン異常を示す脳領域間の因果関係を考慮に入れた機能的結合の評価法(Dynamic Causal Modelling)はこれまではstochastic modelという手法が用いられていたが、近年はより計算的に効率的でかつ正確なspectral modelの手法が開発されてきた。そこで、昨年度施行したHuman Connectome Project (HCP)から健常者100人の安静時機能的MRI画像を用いて3つのうつ病関連ネットワークである側坐核ネットワーク、扁桃体ネットワーク、腹内側前頭前野ネットワークとうつ病への治療として使用される反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の刺激箇所である左右背外側前頭前野(DLPFC)におけるDCM解析に新たにspectral DCMを行い、stochastic modelよりも安定した結果を得た。そこでは、うつ病関連ネットワークとDLPFCとの機能的結合は主にうつ病関連ネットワークからDLPFCへの方向性を持った情報の流れから説明されることがわかった。さらに、もう一つの因果関係を考慮に入れた機能的結合の評価法であるGranger causal modellingの解析法を組み合わせることで、これまでの相関をとるだけの機能的結合だけではわからなかった、うつ病関連ネットワークとDLPFCとの結びつきの左右差や、DLPFCがどのうつ病関連ネットワークにより結合しているかなどを見ることができることを示した。これは、うつ病患者のrTMS治療においてどの刺激箇所が最も効果が高いかを個人のうつ病患者ごとに予測できる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年のMRI撮像プロトコルの確立がMRIファントム購入後になったことから生じた被験者のMRI撮像の遅れが今年も影響しており、MRI被験者の撮像が継続されているものの依然遅れている。T1w/T2w比画像の解析法は確立している。脳領域間の因果関係を用いた機能的結合度の評価法(DCM)に関しては昨年採用していたstachastic modelよりもさらに最新の手法として開発されたspectral DCMの手法を今年は導入することができ、結果に対してより正確で安定した結果を出せるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きT1w/T2w比画像撮像に必要な被験者のMRI撮像を行い、T1w/T2w比画像作成に必要な被験者を集める。その上で健常者群とうつ病群とで群間比較を行い、うつ病における皮質のミエリン異常の箇所を探索する。その上で、さらに正確で安定した結果を得ることができるようになったspectral DCMの手法で異常ミエリンの存在する脳領域間の機能的結合度を評価していく。
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Causes of Carryover |
昨年度からの未使用額を使い果たせずに、4726円が未使用額として余ってしまった。来年度のMRI測定関連に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)