2019 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用に向けた多施設データによる統合失調症前駆期における皮質下構造の特徴の解明
Project/Area Number |
18K15509
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
笹林 大樹 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80801414)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 精神病発症危険群 / 大脳皮質下領域体積 / 多施設共同研究 / 側性 / ARMS / MRI / 早期介入 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
4施設(富山大学、東邦大学、東北大学、および東京大学)で連携して収集した107例の精神病発症危険状態 (at-risk mental state: ARMS) 群および104例の健常対照群のMRIデータを対象に、画像解析ソフトFreeSurfer (ver.5.3) を用いて、大脳皮質下構造の群間比較を行った。ARMS群全体においては、左側優位の側脳室・尾状核・淡蒼球の体積増加と右側坐核の体積減少を認め、精神病性障害への脆弱性を表す所見と考えられた。未服薬のARMS群64例においても同様の所見が得られ、また皮質下諸核の体積値と服薬量との間に有意な相関が得られなかったため、これらの所見は抗精神病薬による交絡だけでは説明されないと考えられた。上記の主要成果をまとめ、Schizophrenia Bulletin誌に原著論文として公表した(Sasabayashi et al., in press)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多数例のMRI画像の撮像および臨床評価を概ね完了し、主要な成果は国内・国際学会で発表し、更には原著論文として国際誌に公表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ARMS群全体における大脳皮質下領域の形態特徴は明らかになったものの、その臨床的意義については未だ不明な点が多い。そのため、大脳皮質下構造と認知・社会機能の評価指標との関連を調べる予定である。その準備段階として、本年度中に4施設間で連携し、機能の全体的評定尺度および統合失調症認知機能簡易評価尺度の臨床データを収集した。 また本年度までの研究では、ARMS群における側脳室、側頭辺縁構造(海馬・扁桃体)、および大脳基底核(視床、尾状核、被殻、淡蒼球、側坐核)の形態変化を調べたものの、今後は脳梁や脳幹など他の関心領域についても検討を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度購入した画像解析用パソコンが想定より安価であったため、次年度繰越金が生じた。今後はより多数例の解析を効率的に進めていくため、次年度以降に更に画像解析ワークステーションを増設することを計画している。
|
Research Products
(15 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] at-risk mental stateにおける脳梁体積の減少:多施設共同研究.2019
Author(s)
笹林大樹, 高柳陽一郎, 高橋努, 片桐直之, 佐久間篤, 小原千佳, 小池進介, 中村美保子, 古市厚志, 木戸幹雄, 西川祐美子, 野口京, 山末英典, 松本和紀, 水野雅文, 笠井清登, 鈴木道雄.
Organizer
第14回日本統合失調症学会
-
[Presentation] 精神病発症危険状態における脳回形成の偏倚-多施設共同研究-.2019
Author(s)
笹林大樹, 高柳陽一郎, 高橋努, 小池進介, 山末英典, 片桐直之, 佐久間篤, 小原千佳, 中村美保子, 古市厚志, 木戸幹雄, 西川祐美子, 野口京, 松本和紀, 水野雅文, 笠井清登, 鈴木道雄.
Organizer
第115回日本精神神経学会
-
-
-
-
-
[Presentation] At-risk mental stateにおける大脳皮質厚の変化と認知機能障害との関連.2019
Author(s)
笹林大樹, 高柳陽一郎, 高橋努, 西山志満子, 水上祐子, 片桐直之, 辻野尚久, 根本隆洋, 佐久間篤, 桂雅宏, 大室則幸, 岡田直大, 多田真理子, 管心, 小池進介, 中村美保子, 古市厚志, 木戸幹雄, 西川祐美子, 野口京, 山末英典, 松本和紀, 水野雅文, 笠井清登, 鈴木道雄.
Organizer
第23回日本精神保健・予防学会学術集会
-
-