2019 Fiscal Year Research-status Report
非侵襲的に前立腺癌と正常組織を識別するMRI画像を用いた放射線治療計画技術の開発
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18K15577
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 高明 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (70807742)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MRI / 放射線治療計画 / 前立腺癌 / 尿道 / スポットスキャニング陽子線治療 / TCP/NTCP / 動体追跡陽子線治療 / 治療プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌に対する放射線治療では、正常組織に高線量が照射されることによる尿道狭窄などの有害事象が問題となる。有害事象のリスクを最小限にするために、癌と前立腺内の正常組織である尿道を明確に識別し、正常組織への高線量を避けた放射線治療計画が求められている。本学では、治療計画時に尿道カテーテルを留置し、正常組織を明確に識別することで有害事象のリスクを最小限にした放射線治療を実現してきたが、尿道カテーテル留置は侵襲的であり、尿道カテーテルの有無による再現性の不確かさが課題であった。本研究では、3T-MRIによる高分解能撮像により、尿道カテーテルに伴う侵襲が不要となると考えられる。 本研究課題の遂行にあたり、2019年度は、前年度に承認された自主臨床試験に基づいて、健常ボランティアにおいて、MRI撮像における画像取得および被験者と放射線技師の動線の確認を行った。本研究に参加することに同意いただいた患者に対し、本研究において検討している新しい撮像パラメータによる撮像法を従来の撮像法に追加して実施を開始し、11名の患者が登録された。本研究実施期間におよそ最大100名の登録を予定している。 また、本研究に関連する基礎研究成果として、動体追跡陽子線治療における治療計画データおよび装置ログデータを用いた定量的な解析を行い、動体追跡陽子線治療プロセスや尿道カテーテルの有無による再現性の不確かさについて検討した。研究成果の一部は、国際学会での発表および論文として発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、健常ボランティアでの撮像プロトコルの確認ののち、動体追跡陽子線治療実施患者の登録が進められており、逐次解析を実施している。本年度は11症例が登録された。 また、動体追跡陽子線治療における治療計画データや装置ログデータを用いた定量的な解析により、動体追跡陽子線治療患者の治療プロセスについてまとめた論文が受理され、治療計画CT撮影時における尿道カテーテルの有無による再現性の不確かさについてまとめた論文が受理された。現在、本研究における新しいMRI撮像法に関する報告を論文にまとめているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2018年度と2019年度に進捗した本研究の成果を国内外の学会発表および論文として広く公開していくとともに、自主臨床試験による患者データの蓄積を行い、治療計画CTにおける尿道カテーテルを挿入し正常組織を同定した場合と本研究において考案した尿道カテーテルを用いないMRI撮像法による正常組織を同定した場合の比較を複数の観察者で継続して検証を行う。また、本研究において考案したMRI撮像法を用いて正常組織への線量を低減した治療計画を作成し、従来の正常組織への線量を低減していない治療計画と比較検討を行い、尿道障害リスク予測に関するシミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により予定されていた国内出張が中止となった。次年度の国際学会や国内学会での出張が予定されているが、新型コロナウイルスへの対応状況を見極めながら判断する予定である。 次年度より、本研究に携わる学生の受け入れを開始するにあたり、解析用の端末の用意や学生の学会発表に関わる旅費等に予算を計上する予定である。
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Research Products
(3 results)