2019 Fiscal Year Research-status Report
ミエリンイメージングによる神経脱髄疾患の可視化と診断への臨床応用
Project/Area Number |
18K15643
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
前川 朋子 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (30813448)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Synthetic MRI / ミエリン / 髄鞘 / 多発性硬化症 / 脱髄疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
①多発性硬化症患者21名において、Synthetic MRIで得られるmyelin volume fraction (SyMRIMVF)と、Magnetization transfer saturation (MTsat)、T1強調像とT2強調像の画素強度の比 (T1w/T2w)、radial diffusivity (RD)との相関関係を検討した。患者の脱髄プラーク、プラーク周囲の白質、正常白質の領域において各項目の計測を行った。全ての領域において、SyMRIMVFとMTsat、T1w/T2w、RDに強い相関を認めた。この結果から、SyMRIMVFは、多発性硬化症患者のミエリン評価に適している可能性が示唆される。本研究結果は、Cells誌に原著論文を共著者として掲載した。
②拡散時間の短縮化が可能となったoscillating gradient spin-echo (OGSE)法による拡散強調像を用いて、一過性脳梁膨大部病変の1例を評価した。拡散時間は6.5msと35.2msに設定し、正常白質と病変部のmean diffusivity (MD)、axial diffusivity (AD)、radial diffusivity (RD)を計測した。正常白質と比較し、一過性脳梁膨大部病変は6.5msと35.2msにおいてMD、AD、RDがより大きく変化した。一過性脳梁膨大部病変のADC低下のメカニズムとして、髄鞘内浮腫、炎症浸潤、軸索腫大など仮説として言われている。本結果が具体的にどのような微細構造の変化に起因するかは議論の余地があるが、短い拡散時間の撮像を追加することで病変の内部構造評価に寄与する可能性がある。本研究結果は、Magn Reson Med Sci.誌に症例報告を第一著者として投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多発性硬化症患者のSynthetic MRIデータの収集は順調に進行しているが、画像データ解析がやや遅れている。現在、多発性硬化症のミエリンイメージによる経時的評価を解析中であり、解析でき次第、学会発表・論文化を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き、多発性硬化症患者のMRIデータ収集を進める。データの解析も並行して行い、ミエリンイメージの有用性を示していく。特に脱髄病変の経時的変化を解析し、画像解析によるイメージングバイオマーカーの探索を行う。また、微細構造の評価が期待されるOGSE法においても、脱髄疾患患者のMRIデータが蓄積されれば、画像データの解析を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年3月6-8日に参加予定であった第49回日本神経放射線学会が、COVID-19感染蔓延阻止のため急遽出された全国的な大規模イベント自粛要請に基づき、開催中止となったため。
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Research Products
(1 results)