2019 Fiscal Year Research-status Report
血清マイクロRNAを用いた慢性C型肝炎SVR症例の予後予測法開発
Project/Area Number |
18K15786
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
田所 智子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (50813177)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性C型肝炎 / 肝細胞癌 / マイクロRNA / エルバスビル・グラゾプレビル / 肝線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
C型慢性肝炎患者34名のHCV駆除後の発癌、脂肪肝の発生予測のバイオマーカーとなり得るエクソソームmiRNAの同定を目指し、エルバスビル・グラゾプレビル併用療法におけるゲノタイプ1型C型肝炎治療前後のマイクロRNA(miRNA)について検討を行った。 治療導入時、治療終了後の血液検査を施行する際に同時採取し収集された血液から血清を分離し、PureExoエクソソーム単離キットでエクソソーム溶液を分離した後、miRNeasy Mini Kit を使用してsmall RNAを含むtotal RNAとして抽出した。さらにRNAサンプルを専用キットで蛍光標識し 、2555分子のmiRNAを搭載したオリゴチップにハイブリダイゼーションした後、アレイ用スキャナーでスキャニングを行った。その後各スポットにおける蛍光強度値の定量化を行い、シグナル値を算出し、エクソソーム内のmiRNAを同定した。 発現プロファイルの解析は、計算解析サーバを使用し、従来の統計学的方法のみならずマイクロアレイに適した統計的手法SAM (Significant Analysis of Microarray)、RDAM (Rank Difference Analysis of Microarray)などを用い、治療によりSVRを達成した症例において治療前および治療経過中に特定のmiRNAの血清発現量に変化を認めるかどうかを検証し、DAA製剤によるウイルス駆除に関連すると思われるエクソソームmiRNAを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では50名の患者についての検討を行うこととしていたが、現時点で合計34名の患者より同意を得たうえで検討が進んでおり、今後の解析によって有用なデータが得られる可能性があると思われる。 なお、C型慢性肝炎の治療は現在かなり普及してきており、これ以上の患者の蓄積は得られない可能性もある。
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Strategy for Future Research Activity |
C型肝炎患者の治療前および治療経過中に特定のmiRNAの血清発現量に変化を認めたものについて各エクソソームmiRNAの発現変化パターンに基づいてSVR症例をグループ化する。これらグループ間で改めてエクソソームmiRNA発現量を治療経過の各時期で比較検討しmiRNA発現パターンが各々独立したクラスターを形成するかどうか確認する。 また治療後のNASH/NAFLD発症、肝線維化進展、肝発癌の発症リスクについて前向きに解析を行い、これらの合併症発生と相関するエクソソーム内miRNAを同定する。
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