2020 Fiscal Year Research-status Report
心不全入院患者の99mTc-MIBI検査によるミトコンドリア機能の評価
Project/Area Number |
18K15904
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 隆生 順天堂大学, 医学部, 助教 (10816573)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心不全 / 98mTc-MIBI / 運動耐容能 / ミトコンドリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では急性非代償性心不全で入院した患者を対象に99mTc-MIBIによる検査と運動耐容能の評価などを退院前と退院6ヵ月後に施行し、その変化と相互の関係性を検討する。 心不全は本邦において増加の一途をたどっており、患者層はどんどん高齢化している。それに伴い、運動耐容能が低下した心不全患者が増えていくものと想像される。運動耐容能低下と関連する可能性のあるミトコンドリア機能低下に対して、薬剤やサプリメントなどで直接的な介入の可能性が高まってきているが、ミトコンドリア機能の評価方法が定まっていない。特に、99mTc-MIBIによる心筋や骨格筋のミトコンドリア機能の評価が心不全の回復過程で変化し、他の運動耐容能の変化と関連するのであれば、現状評価のみならず、治療による効果の判定などでも有用性が高いと考えられたため、本研究の着想に至った。心不全患者において、99mTc-MIBI-WRの亢進で表されるミトコンドリア機能の低下は、運動耐容能の低下と横断的に関連することが示されているが、99mTc-MIBIを用いて心筋および骨格筋のミトコンドリア機能の変化を縦断的に評価した研究は症例報告とどまっている。特に心不全への治療経過によるミトコンドリア機能の変化に関する研究はこれまでない。このような背景で本研究は計画し、ここで述べるような新規性がある。 現在ご協力いただいている患者は26人である。これまでご協力いただいた患者で、この研究プロトコールで病状が悪化した患者はみられていない。今年度が最終年度でもあり、データ解析、論文化を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在ご協力いただいている患者は26人である。退院前検査から6カ月経過する患者も出てきますので、今後フォローアップの検査をする予定である。なお、これまでご協力いただいた患者で、この研究プロトコールで体調を崩した患者はみられていないが、研究を離脱された患者が2名いる。 1人目:うっ血性心不全の原疾患である重症大動脈弁狭窄症に対して経カテーテル的大動脈弁置換術を施行した。プロトコールに則り、その後Tc-MIBIの検査を行い、CPXを入院中に施行する予定であった。しかし、術後から間欠的に房室ブロックを認め、経カテーテル的大動脈弁置換術後患者に認めることもある完全房室ブロックへ移行した。有症候性の完全房室ブロックであったためペースメーカ植え込みとなった。当研究はペースメーカ植え込み患者を除外基準としており、当患者は研究対象から除外することとなり中止とした。 2人目:心筋炎後心筋症のためうっ血性心不全を発症した患者で退院前に各種検査を行った。外来経過は良好であったが、重症肺炎、敗血症性ショックで当院救急搬送となった。入院治療を行ったが、重症肺炎のためお亡くなりとなった。よって、当患者は研究対象から除外とすることとなり中止とした。 これら2名以外の患者の外来経過は良好である。Covid-19感染症により外来検査の制限がかかる可能性はあるが、これまでのプロトコール通り研究を継続していく。
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Strategy for Future Research Activity |
入院患者を初回検査では対象としており、実際に費用が掛かるのは退院後6カ月してから行う検査である。26人にお願いしているが、可能な限りエントリーを行い、データ収集、解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
基本的に入院患者を初回検査では対象としており、実際に費用が掛かるのは退院後6カ月してから行う検査である。退院後6カ月となる患者が今後増えることが想定される。また今後もご協力いただく新規患者が増えていくため、これまでご協力いただいた患者を含め、研究費からの支出が必要となる。
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