2018 Fiscal Year Research-status Report
肺胞微石症に対する分子機構の解明と臨床応用可能な治療法の開発
Project/Area Number |
18K15956
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 充史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00768939)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺胞微石症 / 動物モデル / ナトリウムリン共輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺胞微石症はSLC34A2遺伝子変異が原因で肺胞内にリン酸カルシウム結石を生じる希少肺疾患である。日本は世界で最多の症例報告があるが現在まで有効な治療法はなく、その開発が急務である。申請者は、同疾患モデルマウスを作製して病態解析を行ない、低リン食治療が進行抑制・病勢の改善に寄与することを明らかにした。一方で、低リン食治療は軽微ながら栄養障害が原因と考えられる体重減少の副作用を認めたことから、臨床応用へはさらなる改善が望まれる。また肺胞マクロファージが微石除去に関与することが明らかになりつつあるが、その役割についてはまだ不明な点が多い。そのため本研究申請では、これまでの研究をさらに発展させ、低リン食治療とリン吸着剤の併用法の治療効果と副作用について検討し、さらに肺胞マクロファージの機能解析を進め肺胞微石症の病態を分子・細胞レベルで解明する。これまでの研究結果と合わせて新治療法を用いた臨床応用へと導く研究としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな治療法開発としてこれまで明らかになった低リン食療法を応用して、慢性腎不全に適応のあるリン吸着剤を同疾患に応用する検討をおこなっている。これまでに低リン食と同様に治療効果を認め、副作用も許容範囲内であることがわかってきた。また分子病態の解明にあたり、プロテオミクス解析・リピドミクス解析・3D顕微鏡などを駆使して、肺胞マクロファージを中心とした微石のリモデリング、脂質貯留に至るメカニズムmの解析が進行中である。現在までにマクロファージ関連因子やアラキドン酸代謝など同疾患に特徴的と思われる結果を得られており、近日中に論文化して発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で治療法についてはほぼ確立できた。近年施行された全国調査の結果、本邦における肺胞微石症症例の数は10未満と非常に少なくなっており、大規模なRCTは難しい。しかし、米国シンシナティ大学やシンシナティ小児病院を中心としたRare lung disease Consortiumが症例の集積を進めており、同大Frank Macormack教授のグループと共に、臨床治験へとステージを進めたい。 また、分子病態の解明は先進的技術であるプロテオミクス解析やリピドミクス解析を駆使することで多くの事が分かってきた。特にこれまで肺胞微石症モデルマウスの肺ではPhospholipidosisと呼ばれる肺内への脂質貯留が明らかになっていたが、今回の研究の結果、肺内では微石が形成するだけでなく慢性的な炎症が生じ、特徴的な脂質メディエーターが病態形成に関与していることがわかってきた。今後はこれらオミクス解析で明らかになった分子について掘り下げて検討することで、肺胞微石症の分子病態を解明したい。
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Causes of Carryover |
効率的な物品調達をおこなったため。 次年度に予定していた国際学会や物品調達に次年度使用額を使用する予定である。
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[Journal Article] Characterization of distal airway stem-like cells expressing N-terminally truncated p63 and thyroid transcription factor-1 in the human lung.2018
Author(s)
2.Tanaka Y, Yamaguchi M, Hirai S, Sumi T, Tada M, Saito A, Chiba H, Kojima T, Watanabe A, Takahashi H, Sakuma Y.
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Journal Title
Experimental cell research
Volume: 372
Pages: 141-149
DOI
Peer Reviewed
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