2018 Fiscal Year Research-status Report
アダプター分子PTIPの造血系における生物学的機能および複合体選択性の解明
Project/Area Number |
18K16087
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中田 雄一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (90793430)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 造血幹細胞 / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
PTIP(PAX transcription activation domain interacting protein)は、i)TrxGの構成因子としてヒストン修飾を介した遺伝子発現の制御、およびii)DNA修復蛋白質複合体の構成因子として損傷部位の修復、に関与する細胞の恒常性維持に必須のアダプター分子である。ヒト造血器腫瘍における発現解析の結果、PTIPの発現低下と腫瘍化に関連性があることが示唆されるが、PTIPの造血系における役割は明らかになっていない。 本申請では、PTIPを後天的に欠損するノックアウトマウスを作製し、このマウスは腫瘍感受性が亢進していることが予想されるため、このマウスの血液を経時的に採取し、白血病を自然発症するかについて検討したが白血病を自然発症することはなかった。 そこで、このマウスを用いてレトロウイルス感染によるin vivo mutagenesisを誘導し、エピゲノムの撹乱およびDNA修復機構の破綻によって腫瘍感受性が亢進する可能性について検討した。その結果、PTIP欠損マウスは二次的遺伝子変化に伴って白血病を発症することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PTIPはエピジェネティックな遺伝子制御およびDNA修復機構によって腫瘍発症を抑制する可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
レトロウイルス感染により白血病を発症したPTIP欠損マウスの腫瘍細胞から DNAを抽出する。ウイルス特異的なプライマーを用いてinverse PCRを行い、ウイルス挿入遺伝子部位を同定し、PTIPの欠損と協調的に作用し、白血病発症を促進させる遺伝子の同定を試みる。
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