2019 Fiscal Year Research-status Report
難治性血管炎におけるセマフォリン分子の病的意義と治療応用
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18K16146
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西出 真之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80812255)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ANCA関連血管炎 / 好酸球性副鼻腔炎 / セマフォリン |
Outline of Annual Research Achievements |
ANCA関連血管炎の病型のうち、高度な腎炎を呈する顕微鏡的多発血管炎(MPA)と、好酸球性副鼻腔炎を合併する好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を研究対象とした。MPAモデルは、前年度に確立した腎血管炎をさらに安定して発症させるようプロトコルを改良した。EGPAは、全身性の適切なモデルが存在しないため、局所病変として高率に合併する好酸球性副鼻腔炎に着目し、副鼻腔の血管周囲に好酸球性炎症を生ずるアスペルギルス死菌移入モデルを用いた。モデルマウスを樹立できたものについては、セマフォリン抗体を用いた前臨床試験を行い治療効果の判定を行った。
その結果、MPAモデルは、手法を幾度か改良することで、ヒトの病態に非常に近い重篤な腎血管炎をマウスに発症させることに成功した。発症したマウスは高度の半月体形成性糸球体腎炎を生じ、尿たんぱく値の上昇を認めた。好酸球性副鼻腔炎モデルについては立ち上げ~抗セマフォリン抗体を用いた治療実験までを完了し、抗セマフォリン抗体が好酸球性血管炎症の軽減、鼻腔洗浄液内炎症性サイトカインの低下をもたらし、病態を軽減させることが明らかとなった。
今年度の進捗により、セマフォリンは好中球だけでなく、好酸球にも発現し、血管炎に密接に関連している事が明らかとなった(The Journal of Allergy and Clinical Immunology 145:843-854 2020)。セマフォリンを標的とする治療が血管炎に有用である可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好酸球におけるセマフォリンの役割については論文が受理されるところまで進捗した。好中球性の血管炎については引き続き治療実験に取り組んでゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が作成する顕微鏡的多発血管炎のモデルにおいて、腎組織所見における血管炎が最も高いレベルで安定する条件を設定する。腎以外にも、肺組織など、血管炎で障害され得る臓器についてもマウスモデルで検討する。セマフォリンおよび関連分子を標的とする薬剤を用いて、血管炎モデルの治療実験を行い、評価方法を確立する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究を遂行するにあたり、患者検体解析のためのELISAキットや試薬、実験動物は、もともと当研究室にストックしていたものを一部使用できる状況にあり、そのため物品費については、当初の計画より部分的に出費を抑える事が出来た。次年度は、繰り越した分の予算を、モデルマウス実験の拡充など、研究成果の幅を広げるため有効に活用し、物品費を使用する予定である。 一方、好酸球性血管炎関連研究の予想以上の進捗により、学会等での発表機会が複数回生じ、今年度は旅費を計上する必要性があった。次年度も一部予算を旅費に計上する可能性がある。
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Research Products
(5 results)