2018 Fiscal Year Research-status Report
The function and identification of the specific proteins of multidrug-resistant Escherichia coli ST131
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18K16189
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 天理医療大学, 医療学部, 講師 (30647087)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Escherichia coli ST131 / proteomics / specific proteins / YahO / YjbJ / YnfD / HdeA / cytochrome b562 |
Outline of Annual Research Achievements |
多剤耐性腸内細菌科細菌は,近年Escherichia coliの菌種を中心に病院内のみならず市中においても急増傾向にあり,2013年にはCDCが人類の脅威であるとの警告を発した。また,薬剤耐性菌感染症関連死亡率は,2050 年には現在最も死亡率の高い悪性腫瘍のそれを上回るとの試算も報告されている。多剤耐性E. coli急増の原因は、Sequence Type 131に分類されるクローン(ST131)の世界的パンデミックであり、その原因は明らかとなっていない。われわれはこれまでに質量分析器を用いて、ST131に特異的な複数のタンパク質を発見してきた。その中には機能不明なタンパク質も含まれており、今後これらST131特異的タンパク質のタンパク質間相互作用など様々な機能解析を実施することで、ST131を代表とする薬剤耐性パンデミッククローンが世界的蔓延を遂げる原因が解明される可能性を秘めている。平成30年度は各種ST131特異的タンパク質の単離精製および同定し、その塩基配列解析を実施した。これにより5つのST131に特異的なタンパク質アミノ酸変異(YahO E34A [7655 m/z]、YjbJ V59D D60S T63K [8351 m/z]、YnfD S106T [8448 m/z]、HdeA Q92K N94S [9714 m/z]および7パターンのアミノ酸変異を伴う可溶性cytochrome b562 [11783 m/z]を発見した。HdeAは酸ストレス応答、可溶性cytochrome b562は電子伝達系に関与するタンパク質である。一方、YahO、YjbJおよびYnfDは現在のところその機能は明らかとなっていない。平成31年度以降はこれらのタンパク質の相互作用および機能解析を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は各種ST131特異的タンパク質を単離精製し、同定した。また、その遺伝子塩基配列解析も完了し、当初の計画通り研究は遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
各種ST131特異的タンパク質同定後,機能不明なタンパク質はそのコー ディング遺伝子を高発現pETベクター(Novagene)に遺伝子導入し,ST131およびnon-ST131特異的配列の2種類の遺伝子組み換え体 を作製し,機能を比較する。pETベクターはpET-41aを使用し,それぞ れGSTタグ付きおよびタグ無し2種類計4株の高発現株を作 製し,以下の研究を実施する。a) GSTタグ付き抗原を用いたプルダウンアッセイによるタンパク質間相互作用解析,b) GSTタグ 無し抗原を用いたウェスタンブロッティングのためのポリクローナル抗体作製,c) 磁性ビーズによるポリクローナル抗体の精 製および各種ブロッティングによる性能評価,d) 各種抗体を用いたST131特異的タンパク質の細胞内局在性の確認。なお,a)に ついて,GST系で解析不可能であった場合はHisタグを用いた系も検討する。
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Causes of Carryover |
平成30年度の実験は予想以上にスムーズに遂行できたため、当初の予定より消耗品や外注費用の支出が抑えられた。次年度からは平成30年度に発見した各種ST131特異的タンパク質の機能解析を実施するが、これには様々な新しく調達する必要のある試薬が多数必要であると推測するため、平成31年度にその余剰金を繰り越した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Evaluation of the modified carbapenem inactivation method for the detection of carbapenemase-producing Enterobacteriaceae.2018
Author(s)
Kuchibiro T, Komatsu M, Yamasaki K, Nakamura T, Nishio H, Nishi I, Kimura K, Niki M, Ono T, Sueyoshi N, Kita M, Kida K, Ohama M, Satoh K, Toda H, Mizutani T, Fukuda N, Sawa K, Nakai I, Kofuku T, Orita T, Watari H, Shimura S, Fukuda S, Nakamura A, Wada Y.
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Journal Title
J Infect Chemother
Volume: 24
Pages: 262-266
DOI
Peer Reviewed
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