2018 Fiscal Year Research-status Report
Venous structure created by a bio-3D printer for transplantaion
Project/Area Number |
18K16252
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國土 貴嗣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40802921)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 人工血管 / Bio-3D printer |
Outline of Annual Research Achievements |
肝胆膵外科領域の手術は近年高度化してきており、血管合併切除・再建を必要とすること が多くなってきている。しかしながら、一般的に心臓外科領域で用いられている合成繊維を用いた人工血管は肝胆膵外科手術・肝移植においては術中の胆汁・腸液による汚染のため感染リスクが高く、用いることが難しい。そのため、感染に強く、安定して供給可能な人工血管の開発は手術の安全性を担保する上で必要不可欠である。 本研究では、動脈への動物移植実験で既にリモデリング・長期開存が確認されており、前臨床試験の終了しているBio-3D printerを用いた人工血管作成技術を応用し、静脈用の人工血管を開発する。Bio-3D printerを用いて作成する人工血管はヒト由来細胞から作成可能であり、足場なしに移植可能なため、従来の人工血管と比較して感染に強く、ドナー不足の心配もない。作成した人工血管の静脈系血管(門脈・肝静脈)での有用性をラットの下大静脈置換実験、ブタの門脈置換実験を動物実験モデルとして検証する。リモデリング、内皮化といった病理学的な評価と長期的な開存の有無を評価し、肝胆膵外科領域手術への臨床応用を目指すことを本研究の目的とする。 2018年度はヌードラットの下大静脈の置換実験手技を確立し、Bio-3D printerで作成した人工血管の移植実験を4匹において成功させ、いずれも開存を確認している。2019年度はヒトへの臨床応用を目指してより大型の動物であるブタへの移植実験を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は①静脈系血管用の人工血管の作成および②動物モデルを用いた静脈としての移植実験を予定していた。①に関しては3Dプリンターを用いた動脈用人工血管作成技術を応用し、静脈用人工血管の作成を行った。動脈と比較し、静脈では血管内圧が低いため、強度を必要としない。一方、動脈と比較すると平滑筋細胞が少なく、壁が薄い特徴がある。そのため動脈用として作成された人工血管は物理的特性に叶わないため、静脈としての強度は保ちつつ、ヒト臍静脈血管内皮細胞、ヒト大動脈平滑筋細胞、ヒト皮膚繊維芽細胞の血管壁での含有比率を変更し、静脈系血管に移植可能な血管を作成した。②に関してはBio-3D printerで作成した人工血管はヒト由来の細胞を用いるため、通常の実験用動物では拒絶が問題となる。そのため静脈置換実験ではヌードラットの下大静脈置換実験の実験系を確立し、4匹の人工血管の移植実験に成功した。さらに移植後5日目に血流評価、血管の病理学的検査を行い、血管のリモデリング、長期開存を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度はヒトへの臨床応用を目指してより大型の動物であるブタへの移植実験を予定している。ヌードラットでの移植実験同様に、5日目に血流評価、血管の病理学的検査を行い、さらに、1か月後に同様の評価を行うことで、血管のリモデリング、長期開存を確認していく予定である。ブタでの安定した結果が得られた段階で、PMDAと協議の上、Bio-3D printerで作成した人工血管の静脈系血管への適応拡大を目指す。さらに肝胆膵外科手術・肝移植での臨床試験の策定を行っていく予定である。 本研究は世界で初めて細胞の凝集を応用した足場なしでのBio-3D printerを用いた人工血管を肝胆膵外科手術に応用するという独創性の高い研究であり、現在肝胆膵外科領域で安全性の高い人工血管が存在しないという重要な課題を解決できる可能性のある研究である。また本研究で作成した静脈用の人工血管は肝胆膵外科領域以外でも全身の静脈に使用可能となることが推測されるため、移植医療全体の進歩に大きく寄与する研究となることが予想される。
|
Causes of Carryover |
次年度においてブタを用いた実験を行うため、必要経費が当初の予定より高額となることが予想されたため、次年度に経費を繰り越した。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 外科2018
Author(s)
國土 貴嗣, 影山 優美子, 網倉 克己, 長谷川 潔, 坂本 裕彦
Total Pages
530-533
Publisher
(株)南江堂