2018 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of subcutaneous pancreatic islet transplantation method using new material (Recombinant Peptide) ; for the clinical application of subcutaneous islet transplantation.
Project/Area Number |
18K16272
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植松 智海 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30811476)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮下膵島移植 / Fibroblast Growth Factor / I型コラーゲン様リコンビナントペプチド / 血管新生細胞外マトリックス(ECM) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重症1型糖尿病の根治療法において、リスクが高い従来の経門脈的膵島移植に代わる低侵襲な皮下膵島移植の開発である。我々はbFGF(basic fibroblast growth factor)を使用したデバイスを作成し、皮下膵島移植の生着率向上に血管新生の重要性を示した。さらに我々は新規素材であるI型コラーゲン様リコンビナントペプチド(cellnest®;以下RCP)を用いて安全で効果的な皮下血管床構築法を確立することにより、従来の経門脈移植と同等の皮下膵島移植の生着率向上を実現し、皮下膵島移植の成功の鍵は皮下膵島移植の最適微小環境作成を促進するような素材(以下皮下デバイス)が重要であると考え、RCP皮下デバイスの皮下膵島移植時における血管新生の評価と、さらに生着率向上に関与する血管新生細胞外マトリックス(ECM)の同定とメカニズムの解明を試みている。 本研究では、マウスを用いて①RCP皮下デバイスにおける皮下膵島移植時の血管新生の評価と、②上記膵島移植時の生着率向上に関与すると考えられるECMを同定しそのメカニズムを解明することを目的とする。 ①RCP皮下デバイスにおける血管新生の証明: RCP皮下デバイスを留置後摘出し、同種同系膵島を移植、血管新生の免疫染色による定量分析を行い、bFGFデバイス群と比較する。また、皮下に移植した膵島の血管新生を特殊なチャンバー(dorsal skinfold chamber)を使用し、二光子顕微鏡を用いてより詳細な血管新生機序を求める。 ②RCPまたはbFGF皮下デバイスにおけるECMの証明:①と同様のマウスで免疫染色でECM (ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヘパラン硫酸、コラーゲンⅠ、Ⅲ、Ⅳ)の存在を定性で確認し、差があればLaser microdissection(LMD 7000)を使用して定量的に解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①RCP皮下デバイスにおける血管新生の証明:以前に行った実験で、bFGFを使用したデバイス群とコントロール群での新生血管の評価では、bFGF 群では、有意に高値を示した。しかし、RCP群について新生血管の評価を行ったところ、膵島内の新生血管の数は少数で、コントロール群と有意な差を認めなかった。今回、治癒結果の非常に良好なRCPデバイスやある程度の治癒を得たbFGF0群(bFGFを含まないデバイスを使用した群)において、免染にて新生血管が少ないという事実は、皮下における膵島生着には血管新生以外の何か別の重要な機序を介していることを示唆している可能性があると思われる。一つの候補として考え得るのは、コラーゲンやヘパラン硫酸、フィブロネクチンといったECMの発現増強あるいは補充である。膵島分離作業中に、破壊された膵島周囲のECMが失われ膵島の機能が損なわれるという報告やフィブロネクチンの発現増強を介して幹細胞の生存を延長させたという報告から、デバイスの異物反応によって引き起こされる炎症により誘導・補充されるECMによってより膵島生着が促進する可能性もあると考えた。 ②RCPまたはbFGF皮下デバイスにおけるECMの証明:①の結果を受け、シャム群、bFGFデバイス群、RCP短期留置群、RCP長期留置群において、皮下に移植した膵島周囲のECM発現における免疫染色(定性)を行った。現在までに終了しているのはラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲンⅣの定性評価と統計解析である。ラミニンに関しては明らかな有意差を認めず、フィブロネクチンに関してはbFGF群とRCP長期留置群において有意に発現が高く、ビトロネクチンに関しては、はbFGF群の発現が有意に高くRCP長期留置群が高い傾向を示し、コラーゲンⅣに関してはbFGF群が有意に高い発現を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題として、 ①RCP皮下デバイスにおける血管新生の証明:これまでの実験で、治癒結果の非常に良好なRCPデバイス群において、有意に高値を示したbFGF群とは対照的に、免染にて新生血管が少ないという事実はの機序解明の一つの手段として、皮下に移植した膵島の血管新生を特殊なチャンバー(DSC: dorsal skinfold chamber)を使用し、生存動物の体内で起きている現象を観察できる二光子顕微鏡を用いて免染では評価できなかった血管新生機序を求める予定であった。しかしチャンバーの作成と膵島生着が手技的に困難であり、実現に至っていない。 ②RCPまたはbFGF皮下デバイスにおけるECMの証明:免疫染色でECM (ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヘパラン硫酸、コラーゲンⅠ、Ⅲ、Ⅳ)の存在を定性で確認し、差があればLaser microdissection(LMD 7000)を使用して定量的に解析する予定であるが、免疫染色では、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ヘパラン硫酸、コラーゲンⅣの定性解析は終了したものの、ヘパラン硫酸、コラーゲンⅠ、Ⅲについてはまだ終了していない。また、定性で有意差があったフィブロネクチンとビトロネクチンに関しては定量解析も行いたいが実現に至っていない。 以上を今後の課題とし、引き続き、研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
物品を効率的に購入したため、次年度使用が発生した。 残額は次年度、膵島移植の研究に係る費用(マウス購入など)に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)