2018 Fiscal Year Research-status Report
術前腫瘍量因子と血清メチル化遺伝子による肝癌予後予測システムの構築
Project/Area Number |
18K16316
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
徳光 幸生 山口大学, 医学部, 助教(寄附講座等) (40593299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / 予後予測 / 最大腫瘍径 / メチル化 / 統合スコア |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞癌における、臨床病理学的因子と新規分子生物学的バイオマーカーのcombinationを用いた高精度な予後予測システムの構築は、ある特定の個人の予後予測に加え、最適な治療法選択の指標や異なる治療間での比較スケールとしても重要である。教室では、①臨床因子として「腫瘍個数×最大腫瘍径」が良い予後の指標となること②分子生物学的マーカーとして、血清メチル化遺伝子が予後因子となること、を報告しているが、本研究は、この両者を組み合わせた新たな治療前予後予測システムの構築を目的としている。2018年度は、解析用のパーソナルコンピューターや附随品、備品などを購入して、当院ですでに得られている肝細胞癌根治術後125例における臨床データと血清中の6遺伝子のメチル化発現のデータを基に新規スコア式構築を開始している。その過程で、①に関し、「腫瘍個数×最大腫瘍径」であるNumber x Size因子(NxS因子)と肝機能因子として肝機能因子に関して肝癌取扱い規約の肝障害度(Liver damage:LD)を統合したMathematical Integrated model for Tumor Staging score(MITS score)を構築しすでにその有用性を発表しているが、これに加え新たに新規肝機能因子として注目を集めているAlbumin-Bilirubin grade(AlBI grade)とNxS因子を統合したMITS-ALBI scoreを構築して、大阪大学と大阪国際がんセンターの940症例にてvalidationを行ったところ、無再発生存期間、全生存期間ともに予後の層別化に有用であることが示された。2018年度は、この内容を論文として作成し、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来の目的である臨床病理学的因子と新規分子生物学的バイオマーカーのcombinationを用いた高精度な予後予測システムの構築にはまだ至っていないが、解析の経過でAlbumin-Bilirubin grade(AlBI grade)とNxS因子を統合したMITS-ALBI scoreが構築されたことは臨床的意義が大きいと考えている。すなわち、「腫瘍径」「腫瘍個数」「血清Albumin値」「血清Bilirubin値」のわずか4項目で、肝癌予後予測をシンプルに行い得る予測システムを構築できた。これにより、従来のMITS scoreの構成要素であった「ICGR15分値」が不要となり、よりシンプルなスコア式を構築することが可能となり、論文化するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
肝癌は背景の違いなどから、未だ全世界共通で用いられている診療アルゴリズムや予後予測システムはない。既存のMITS scoreも予後予測に優れていたが、その構成因子に「ICGR15分値」が含まれていた。これは、本邦では肝切除症例に対して広く測定されている項目であるが、海外や非肝切除症例では測定されていないことが多く、対象が限定されていた。MITS-ALBI scoreはどの国や地域でも通常診療で測定されている項目のみで構成されているため、汎用性が高く地域間や治療法別の比較などに有用と考えられる。この結果を用い、さらに高精度な臨床病理学的因子と新規分子生物学的バイオマーカーのcombination systemの構築を目指したい。
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Causes of Carryover |
検査の効率を考慮し、次年度で試薬の追加と消耗品などの購入を想定していたため。次年度では、追加の血清メチル化遺伝子の定量解析を行う。術前採取した血清よりcell-free DNAを抽出し、bisulfite処理後にqPCRを用いて目的の候補遺伝子を定量定性化する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A new prognostic model for hepatocellular carcinoma recurrence after curative hepatectomy2018
Author(s)
Yukio Tokumitsu, Kazuhiko Sakamoto, Yoshihiro Tokuhisa, Hiroto Matsui, Satoshi Matsukuma, Yoshinari Maeda, Koichiro Sakata, Hiroshi Wada, Hidetoshi Eguchi, Hiroyuki Ogihara, Yusuke Fujita, Yoshihiko Hamamoto, Norio Iizuka, Tomio Ueno, Hiroaki Nagano
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Journal Title
Oncol Lett. 2018
Volume: 15(4)
Pages: 4411-4422.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] 敗血症性ショックに対するPMX-DHPの有用性2018
Author(s)
徳光 幸生, 松隈 聰, 坂本 和彦, 徳久 善弘, 松井 洋人, 兼清 信介, 友近 忍, 飯田 通久, 鈴木 伸明, 武田 茂, 吉野 茂文, 硲 彰一, 上野 富雄, 永野 浩昭
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Journal Title
日本腹部救急医学会雑誌
Volume: 38巻4号
Pages: 643-648
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[Presentation] 十二指腸狭窄を伴う膵癌に対する腹腔鏡下胃空腸バイパス術2019
Author(s)
徳光 幸生, 新藤 芳太郎, 松井 洋人, 松隈 聰, 中島 正夫, 兼清 信介, 友近 忍, 吉田 晋, 飯田 通久, 鈴木 伸明, 武田 茂, 吉野 茂文, 硲 彰一, 上野 富雄, 永野 浩昭
Organizer
日本腹部救急医学会
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[Presentation] 腹腔鏡下系統的肝切除を定型化するための術野展開の工夫2018
Author(s)
徳光 幸生, 新藤 芳太郎, 松井 洋人, 松隈 聰, 中島 正夫, 兼清 信介, 友近 忍, 吉田 晋, 飯田 通久, 鈴木 伸明, 武田 茂, 吉野 茂文, 硲 彰一, 上野 富雄, 永野 浩昭
Organizer
日本臨床外科学会
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[Presentation] 鏡視下肝切除における胆嚢板牽引法を用いた右葉系グリソン確保2018
Author(s)
徳光 幸生, 新藤 芳太郎, 松井 洋人, 松隈 聰, 中島 正夫, 兼清 信介, 友近 忍, 吉田 晋, 飯田 通久, 鈴木 伸明, 武田 茂, 吉野 茂文, 硲 彰一, 上野 富雄, 永野 浩昭
Organizer
日本内視鏡外科学会