2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘルペスウイルスを用いた痛みの遺伝子治療の有用性と開発応用
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18K16469
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
神田 恵 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50516820)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 遺伝子治療 / ベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
疼痛モデルのラットに対して、標的タンパクの遺伝子を導入するためのウイルスベクターを左足底部に投与し、動物行動解析にて疼痛閾値を算出し、ウイルスベクター投与によって鎮痛効果が得られることを確認した。また、その鎮痛メカニズムを調べ、脊髄における炎症性サイトカインの抑制が関与すること、脊髄ミトコンドリアでの活性酸素産生関連因子が関与することを確認した。加えて、左足底部に拮抗薬を投与することで、ウイルスベクターによる鎮痛効果が減弱し、疼痛閾値が再び低下することを確認することで、ウイルスベクターの鎮痛効果は中枢神経系に加えて末梢神経系でも関与することを示した。以上の研究成果の中間報告を海外麻酔学会にて報告し、その後も研究を継続して進めている。 定期的に研究に関するカンファレンスを行い、研究協力者との間で意見交換を行い、国内外の他大学研究者より適宜、助言を得ることで、研究を効率よく進めることができている。 今のところは当初の研究計画で考えていた成果をおおむね得ることが出来ており、今後も一連の研究成果が得られれば、本年度中に英文誌へ論文投稿という形で研究成果を発表することを目指している。 今後は、これまでの研究で得られた知見をもとに、さらに研究をすすめていき、鎮痛メカニズムを明らかにする。将来的には、それらの知見をもとに、臨床治験を行い、安全性と有用性を得たのち、難治性疼痛の治療の選択肢の一つとして実臨床の場でウイルスベクターによる遺伝子導入が応用されることを最終的な目標としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疼痛モデル作成、ウイルスベクターベクターによる疼痛治療の実施、動物行動解析による鎮痛効果の確認、鎮痛メカニズムの解明といった一連の研究は現在進行形で継続して行っており、それによって一定の成果を得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスベクターによる鎮痛効果の確認や、その鎮痛メカニズムの解明だけでなく、十分な鎮痛効果が得られる期間、遺伝子組み換え生物による治療の安全性なども慎重に検討し、実臨床の場で応用されることを目標に取り組んでいく方針である。また、今後も学内の研究部門や、他大学研究機関と連携し、研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
理由;購入物品が安価に押さえられたため次年度使用額が生じた。使用計画;実験の遂行状況に合わせて必要な物品・試薬を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)