2019 Fiscal Year Annual Research Report
Usefulness and developmental application of gene therapy using herpes virus for pain
Project/Area Number |
18K16469
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
神田 恵 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50516820)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / ウイルスベクター / 疼痛 / 神経障害性疼痛 / ヘルペスウイルス / GABA / GAD67 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の医学の躍進により、遺伝子治療はさまざまな領域で注目されている。中でも、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療は、がん治療、代謝疾患、神経疾患などの分野での臨床治験が国内でも開始されている。しかしながら今のところ、神経障害性疼痛に対する遺伝子治療は確立されていない。これに対し、我々はこれまでに、痛みの遺伝子治療の有用性や、神経障害性疼痛の機序を解明する研究成果を報告してきた。本研究では、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)67を発現させ脊髄後角のγ-アミノ酪酸 (GABA) 合成を促進するヘルペスウイルスベクターを用いた遺伝子治療の有用性を明らかにするとともに、その鎮痛機序を解明することを目的とした。 本研究により、ラット疼痛モデルにGAD67を発現するウイルスベクターを投与すると、1)神経障害性疼痛が緩和され、そのメカニズムには、2)脊髄後角のGAD67が増加してGABA合成が促進すること、脊髄後角のTNF-α放出が抑制されることが関与すること、4)ウイルスベクターを投与した疼痛モデルにGABA受容体アンタゴニストを足底部に注入すると、疼痛閾値が低下し鎮痛効果が抑制されることを見出した。 神経障害性疼痛を緩和するウイルスベクターを用いた遺伝子治療の効果とそのメカニズム解明に関して、本研究により得られた成果と我々が今まで得た一連の成果を英文誌へ報告することで、その知見を開示することが出来た。 本研究の成果を慢性疼痛の新しい治療法の開発と臨床応用へと繋げることによって、将来的に疼痛患者のQOL改善と国民の健康維持に寄与することが可能になると考える。
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