2019 Fiscal Year Research-status Report
肉腫における新規薬剤の耐性獲得機序の解明とその予防法の探索
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18K16627
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 誠 九州大学, 大学病院, 講師 (40713433)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肉腫 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度から行っている研究の継続に加え、新たな取り組みを行った。すなわち国立がん研究センター研究所と共同研究を行っているCIC肉腫細胞(Oyama R, Takahashi M, Yoshida A, Sakumoto M, Takai Y, Kito F, Shiozawa K, Qiao Z, Arai Y, Shibata T, Araki Y, Endo M, et al. Sci Rep. 2017)を含め、種々の骨軟部腫瘍細胞株を用いて薬剤耐性株の作成を継続した。脂肪肉腫細胞株 、悪性末梢神経鞘腫瘍細胞株などの細胞株への薬剤の反復投与を行い、複数の薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株の樹立に成功している。その樹立された薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株を用いて、薬剤耐性獲得前の細胞株と薬剤耐性獲得後の細胞株において、それぞれにおける遺伝子やタンパクの網羅的発現解析等々により、薬剤耐性に関与する遺伝子およびタンパクの分析を継続的に行った。研究の一環として、新規に樹立された骨外性骨肉腫患者由来の細胞株について論文発表を行った(Kito F, Oyama R, Noguchi R, hattori E, Sakumoto M, Endo M, et al. Human Cell. 2020)。また、新しい取り組みとして、薬剤感受性と腫瘍免疫環境の関連性の解析を行った。昨今、免疫チェックポイント阻害薬など腫瘍免疫をターゲットした治療の有効性が期待されている中で、抗がん剤治療を受けた骨軟部腫瘍患者における薬剤奏効性や治療成績に腫瘍微小環境における免疫系が関与しているのではないか、との仮説に基づき、細胞株、動物モデルおよび臨床検体を用いた検証を行った。その研究成果として、特に骨肉腫の動物モデルにおいて有望な研究結果も出てきており、論文化を念頭に、次年度も継続的に研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
期待通りには研究成果が得られておらず、研究計画の微修正を要している状況である。新しい取り組みにて有望な結果を得ているものの、論文化には至っていないため、やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初想定していた様々な分子生物学的機序に加え、腫瘍免疫系が薬剤耐性機序に及ぼす影響についても並行して研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金の支払いが当初の計画を下回り、結果として5578円の残金を生じた。残金は、次年度の物品購入費に充てる計画である。
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[Presentation] 新規抗がん剤であるエリブリンとトラベクテジンの使用状況とその短期成績2019
Author(s)
福島 俊, 松本 嘉寛, 松延 知哉, 遠藤 誠, 薛 宇孝, 藤原 稔史, 前川 啓, 草場 仁志, 土橋 賢司, 馬場 英司, 岩本 幸英
Organizer
第52回日本整形外科学会 骨軟部腫瘍学術集会
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