2020 Fiscal Year Research-status Report
新規治療につながる抗癌剤耐性卵巣癌の分子標的:EMT転写因子ZEB1
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18K16795
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
坂田 純 愛知県がんセンター(研究所), がん予防研究分野, 研究員 (40778297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 抗癌剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌治療において、抗癌剤耐性の獲得は予後に影響する重大な因子であり、本研究では難治性再発卵巣癌治療の標的として、EMT転写因子ZEB1や結合組織成長因子CTGFが抗癌剤耐性や転移浸潤に関与し、今後の難治性卵巣癌の新たな治療標的として検討してきた。得られた結果についてすでに論文で報告済みで、今後は抗癌剤耐性に関連する臨床データの論文化を予定している。 また、今年度に今後の課題としていた難治性卵巣癌におけるTGF-βおよびZEB1、CTGF(Connective tissue growth factor)の抗癌剤耐性などの高悪性度に関与する機能評価および相互関係についても解析を行った。 現在までに、ZEB1およびCTGFが上皮性卵巣癌の化学療法抵抗性と転移能力の両方で中心的な役割を果たすこと、またZEB1・CTGF各々の高発現が上皮性卵巣癌患者の臨床転帰不良の貴重な予測因子である可能性を示した。 私たちの以前の研究で、TGF-βが卵巣癌細胞によって生成されることを示し、中皮細胞との共培養条件下で相乗的にアップレギュレーションされることが分かっている。TGF-β刺激がZEB1およびCTGF発現の増加につながり、ZEB1およびCTGFを発現抑制した抗癌剤抵抗性胞では、TGF-βが誘導する遊走能と抗癌剤感受性の回復が完全に阻害されていることを明らかにした。 今後の調査では、ZEB1およびCTGFの過剰発現に関連する実験、microRNAの影響について検証を行い、TGF-βおよびZEB1・CTGFの相互関与について明らかにし、卵巣癌の治療標的としての重要性をさらに検証したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
来年度は臨床におけるデータから、抗癌剤耐性卵巣癌への抗癌剤rechallenngeの反応およびその臨床学的背景、さらに分子学的メカニズムを解析を行い、論文化する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記したように、引き続き難治性卵巣癌におけるZEB1およびCTGF、TGF-βの抗癌剤耐性、転移浸潤、血管新生抑制の分子生物学的解明につき評価を継続していく。 また、近年卵巣癌治療は分子標的薬の出現により多彩な治療選択肢があり、プラチナ製剤およびタキサン製剤の抗癌剤耐性を獲得したのちに、異なる治療で軽快した腫瘍の時間的・空間的不均質性と可塑性により、抗癌剤再投与の効果の重要性が検討されている。 今年度は、すでに臨床データから抜粋、集積した抗癌剤耐性再発卵巣癌症例を解析し、抗癌剤耐性獲得後の再チャレンジについて論文作成予定である。
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Causes of Carryover |
基礎研究が順調に進んでおらず、進行状況に遅れがでているが、引き続き難治性再発卵巣癌における抗癌剤耐性、転移浸潤、血管新生抑制の分子生物学的解明と、それを標的とした新規治療薬の効果や有用性につき評価を名古屋大学と連携を取りながら継続していく予定である。
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