2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K16810
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
深川 安寿子 岩手医科大学, 医学部, 任期付助教 (30772511)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍 / 分子生物学 / 子宮体癌 / 腺管分離 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々の研究において、純度の高い腺癌成分のみ抽出が可能である腺管分離法という研究手法を用いることにより、子宮体癌に特有の遺伝子発現の異常やそれらの発現異常と分子生物学的解析との関連について言及してきた。例えば、子宮体癌に特有の染色体数変化について、1番染色体長腕、10番染色体長腕のコピー数増加(chromosomal gain)やコピー数変化の認めないLOH (copy neutral LOH)を認めた。さらに、特定の染色体変化と核異型との関連性を認めた。 当該年度に実施した研究において、主に子宮体癌におけるmicro-RNA(以下、miR)の発現の異常やmiRと臨床病理学的および分子病理学的特徴との関連について明らかとなってきた。子宮体癌の癌腺管のmiR解析の結果、let-7aの発現低下が高頻度にみられ、一方、miR-9、miR-21、miR-27a、miR-27b、miR-96、miR-129、miR-153、miR-183およびmiR-206の過剰発現が観察された。組織学的分化度がGrade 1の症例ではGrade 2-3の症例と比較してmiR-9の発現が高頻度(<0.05)にみられた。PTEN蛋白の発現低下例では、陽性症例と比較してmiR-183がより過剰に発現していた(p<0.05)。MSI陰性例では陽性例に比してlet-7a発現の低下が高頻度であった(p<0.01)。DNAメチル化状態および遺伝子変異とmiR発現との関連はみられなかった。以上より、子宮体癌においてmiR発現の変化が組織学的分化度やPTEN蛋白の発現低下、MSIの変化へ何らかの影響を及ぼしている可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた症例数の確保を行えている状況ではあるが、産前産後休暇、育児休暇取得により手技、解析が遅れている。また、学会発表を行えていないため、今後積極的に行っていくことが重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
純度の高い腺癌成分のみ抽出が可能である腺管分離法という研究手法を用い、さらに症例数の蓄積を行い、各々の分子異常の関連性や臨床病理学的事項、予後への関与について解明し、子宮体癌における発癌機序や癌細胞の浸潤、転移能、薬剤耐性など予後予測因子として機能する分子異常を明らかにし、病理組織学的所見や分子生物学的特性との関連性を明らかにすることによって、子宮体癌の治療選択肢の拡大につなげていくことを目的とする。
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Causes of Carryover |
研究解析に時間を要しており、DNA、RNA解析が遅れており、次年度に繰り越しされた。 残額の使用予定は、次年度にDNA、RNAなどの分子解析に用いる予定である。
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