2020 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性鼻炎の病態生理における神経系と免疫系の相互作用の解析
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18K16832
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西嶌 大宣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50704938)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、アレルギー性鼻炎における神経系と免疫・炎症系の相互作用を解析し、アレルギー性鼻炎の病態解明に寄与することを目的とした。後鼻神経切断術のモデル動物における鼻粘膜支配神経の切断に伴う粘膜の脱神経が、鼻炎の病態や鼻粘膜組織に及ぼす影響を組織学的・分子生物学的に解析した。鼻粘膜の主たる支配神経である後鼻神経を切断したモデル動物においては、鼻粘膜呼吸上皮の交感神経、副交感神経、三叉神経線維マーカーとして用いた各々の神経ペプチドの発現が低下し脱神経が起きていること、鼻汁量を減少させていることが認められた。 さらに知覚神経がアレルギー性鼻炎に及ぼす影響についての検討を行った。特に知覚神経に発現している温度変化に対するTRPチャンネルが鼻炎に及ぼす影響についての解析を行った。この検討では、TRPチャンネルのアゴニストによる刺激により、鼻炎症状が誘発されること、鼻粘膜の知覚神経の支配神経節である三叉神経節におけるTRPの発現が亢進していることが確認された。さらにTRPチャンネル刺激のアレルギー性鼻炎に対する影響も解析も行ったが、これまでの検討ではTRPチャンネル刺激はアレルギー性鼻炎の症状をそれほど修飾しないことが確認された。また老人性鼻炎の背後の病態を探索するために、加齢モデルにおいて神経反応とアレルギー症状に対する検討を行った。現在はこれらの所見に対してさらなる検討及び解析を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定していた各神経を選択的に切断した動物モデルを作成することが困難であり、計画が予定通りには進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのデータを取りまとめ、論文化に取り組んで行く。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定をしていた国際学会等がキャンセルとなったため、本年度の研究費に残金が生じた。論文投稿費等をふくめ次年度以降で使用する予定である。
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