2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K16864
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
東野 正明 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30397278)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 唾液腺癌 / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
当科において治療をおこなった耳下腺癌症例のうち、手術で摘出し、ホルマリン固定した標本を用いて、検討を行った。免疫組織化学にてPD-L1の発現と病理組織型、病理学的悪性度、T分類、N分類、Stage分類、疾患特異的生存率などと比較検討をした。その結果で、PD-L1の発現率は高悪性度の耳下腺癌ほど、高率であった。癌の予後予測因子として、腫瘍細胞におけるPD-L1陽性細胞の割合であるTPS(tumor proportion score)ではなく、腫瘍細胞、リンパ球およびマクロファージにおけるPD-L1陽性細胞を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた数値であるCPS(combined positive score)は、効果予測のバイオマーカー候補の1つとされ、臨床で活用するためにどの程度まで練り上げられるかが注目されている。 これらの病態の解明のため、腫瘍および腫瘍周囲の肥満細胞の浸潤に着目して、研究を継続する。まずは、耳下腺多形腺腫、耳下腺多形腺腫由来癌、耳下腺再発多形腺腫症例の標本を用いて、Real time PCRを用いて、肥満細胞関連物質(VEGF、キマーゼ、トリプターゼ)の発現量を検討した。すると、VEGF、キマーゼ、トリプターゼのいずれもが多形腺腫由来癌で高値である一方、良性多形腺腫では低値であり、有意差が認められた。また、免疫組織化学にて、耳下腺癌の腫瘍組織よりも耳下腺癌の周囲組織に肥満細胞の発現が多い傾向が認められた。現在、耳下腺癌免疫組織化学で、肥満細胞の発現について、症例数を増やして、病理組織型における比較や、病理学的悪性度による比較を検討している。また、肥満細胞の発現とPD-L1の発現の分布について、比較検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19の流行により、日常診療や学生教育など通常業務の負担が大幅に増えてしまった。そのため、研究に割く時間を作ることが困難であった。しかしながら、大学院生の協力を得て、少しずつ研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、大学院生の協力を得て、唾液腺癌組織における肥満細胞の発現とPD-L1の関連について、検討をしていく方針としている。
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Causes of Carryover |
今年度は、Covid-19の流行により、日常診療や学生教育など通常業務の負担が大幅に増えてしまった。そのため、研究に割く時間を作ることが困難であったため、期間延長を行い、研究費を次年度に使用することとした。 次年度は、大学院生の協力を得て、研究を進めていく予定であり、リアルタイムPCRや免疫染色などを施行するために、関連の物品や試薬の費用に使用する予定である。
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