2021 Fiscal Year Research-status Report
難聴児における音韻障害の遺伝学的診断法と言語発達評価法の開発
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18K16890
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
菅谷 明子 岡山大学, 大学病院, 助教 (20600224)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 音韻障害 / 高度難聴 / 人工内耳 / 言語発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、現在音韻障害と診断されている、もしくは音韻障害疑いとして当科および療育施設にて経過観察もしくは介入を行っている児について後方視的な調査を行った。 対象は、過去に当科で人工内耳植え込み術を施行された高度難聴児である。これらの児の背景、人工内耳装用閾値、岡山かなりや学園にて収集した5歳時点での表出語彙数および発話明瞭度を検証した。 その結果、該当する症例が10例8家系(男性5例、女性5例)であった。全例、保険収載された難聴の遺伝学的検査を施行されており、うち6例にGJB2遺伝子変異を認めた。また、同胞例が2家系で、いずれもGJB2ホモ接合性変異が検出された。この10例について検討した。人工内耳の装用閾値は35.26±4.45dBHLと良好であるが、言語発達の遅れ(表出語彙数614.57±495.48語、発話明瞭度63.03±11.55%)が顕著であった。また、表出語彙数は発話明瞭度が検査できなかった症例が3例あり、いずれも発語が不十分のために評価が困難であった。これらの児については、現在も療育を継続している。 音韻障害の診断には、音韻検査が必要であるが、今回検討したように、就学前の段階での語彙数の少なさや発音不良が指標になると考えられるため、聴取能に不釣り合いな語彙の少なさや構音不良の児では、音韻障害の合併を疑い、早期に診断と介入を行う必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
音韻障害の疑い例に遺伝学的検査の参加を呼び掛けたが、コロナ感染の影響もあり、希望されないケースが多く(4例3家系)、令和3年度は検査が実施できなかった。このたび研究に同意が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、研究に同意が得られた症例は双胎児の兄で、補聴器装用していたが、難聴が進行したため、人工内耳手術を施行された。現在就学しており、学校の成績も良好であるが、発音が悪い児である。令和4年度には本症例の家系でトリオ解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新たに研究に参加する家系があり、今後トリオ解析を進めるために経費が必要である。
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