2018 Fiscal Year Research-status Report
オピオイド増殖因子受容体を標的とした新規骨粗鬆症治療薬の創出に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
18K17020
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 健二郎 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (80780296)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 骨芽細胞 / ナルトレキソン / オピオイド増殖因子受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでの予備実験で、骨芽細胞におけるMet-Enkとオピオイド増殖因子受容体(OGFR)のmRNA発現、Met-EnkによるOGFRを介した骨芽細胞の増殖抑制、およびOGFR遮断薬投与によるマウス大腿骨骨量の増大を既に見出していた。そこで平成30年度は主に骨芽細胞におけるMet-Enk-OGFRシグナルの生理的役割の詳細な解明を行なった。予備実験で用いたWST法は安価かつ簡便で再現性も高いが、あくまで生細胞数を計測する方法であり、細胞増殖能を直接測定しているわけではない。したがって、DNA複製を反映し、細胞増殖能を直接測定する方法であるBrdU 法で詳細な検討を行った。その結果、WST法で得られた知見と同様に、Met-Enkが骨芽細胞の増殖を有意に抑制することが分かった。次に、遺伝子レベルで細胞増殖抑制メカニズムを解明するため、サイクリン遺伝子やサイクリン依存性キナーゼ阻害因子等の細胞増殖関連遺伝子の発現解析をqPCR 法で行った。その結果、Met-enk-OGFRシグナルには、サイクリン遺存性キナーゼ阻害因子であるp21やがん抑制遺伝子であるp53が関与していることを明らかにした。さらに、細胞増殖だけでなく、分化や石灰化への影響も検討した。Met-EnkやOGFR遮断薬であるNaltrexoneを作用させた際の骨芽細胞の分化を遺伝子レベルで評価するため、アルカリホスファターゼ(ALP)やI型コラーゲン、オステオカルシンといった骨芽細胞分化マーカーの遺伝子変動をqPCR 法で解析した。その結果、骨芽細胞におけるMet-enk-OGFRシグナルは分化や石灰化にはあまり影響を与えないことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の計画通り進んでいる。ここまでは予期せぬ事態には遭遇しておらず、結果も順調に出てきている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究計画として、マウスへのナルトレキソンの投与による骨量増加機構の解明を予定しているが、これまで積み重ねた予備実験の結果より問題なく結果が得られると信じている。もしそうではなくてもこれまでの細胞実験で得られた結果と比較することでさらに研究として深みが出るものと思っている。したがって、計画書どおりに研究を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
研究結果が予定よりもスムーズに得られたため、当初購入予定であった試薬等の購入の必要がなくなったため次年度使用額が生じた。この使用額は次年度の動物購入費、消耗品費にあてる。
|
Research Products
(2 results)