2019 Fiscal Year Research-status Report
オピオイド増殖因子受容体を標的とした新規骨粗鬆症治療薬の創出に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
18K17020
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 健二郎 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (80780296)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナルトレキソン / オピオイド増殖因子受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、骨芽細胞に発現しているオピオイド増殖因子受容体(Opioid Growth Factor Receptor:OGFR)とそのアゴニストであるメチオニンーエンケファリン(Met-enk)に着目し研究を行なってきた。そしてこれまでにMet-enk-OGFRシグナルには、サイクリン遺存性キナーゼ阻害因子であるp21 やがん抑制遺伝子であるp53が関与し、細胞増殖を負に制御していることを明らかにしてきた。 本年度はこれらの実験結果を踏まえ、主にマウスを用いた動物実験へと発展させた。使用した薬剤は、OGFR遮断薬であるナルトレキソン(Naltrexone)である。このNaltrexoneをマウスに0.1mg/kgと1mg/kg腹腔内投与した。対照群には生理食塩水を投与した。投与期間は24日とした。投与終了後にマウス大腿骨、脛骨を採取し、マイクロCT解析、骨形態計測、骨量構造解析、遺伝子発現解析を行なった。その結果、マウスにNaltrexoneを0.1mg/kg腹腔内投与すると、対照群と比較して有意に大腿骨骨量が増加することが明らかになった。また、その骨量増加作用は骨芽細胞の増殖を介した骨形成の増加に起因することがわかった。しかし、この作用は1mg/kg投与群では生じないこともわかり、低用量のNaltrexone投与の骨量増加作用が示唆された。 以上の結果をまとめると、マウスへのNaltrexone投与は、骨芽細胞におけるMet-enk-OGFRシグナルを遮断し、骨芽細胞の増殖を介して骨量増加に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り研究は進んでおり、結果も蓄積されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定通り、骨粗しょう症モデルマウスである卵巣摘出術マウスを作成し、骨量減少に対するナルトレキソンの骨量増加作用を検討していく予定である。 また、これまでは骨組織の中でも骨芽細胞に着目し研究を行なってきた。他の研究者らの結果、申請者がこれまでに得られた研究結果を踏まえると、Met-enk-OGFRシグナルは骨芽細胞のみならず破骨細胞でも機能している可能性が示唆されている。したがって、破骨細胞を用いた実験も行なっていきたい。
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