2019 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝・骨代謝クロストークによる臓器間ネットワークに焦点を当てた新規骨質制御戦略
Project/Area Number |
18K17154
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
青沼 史子 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (60815900)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨代謝 / 糖代謝 / 糖代謝改善薬 / 骨造成 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の高齢化が進むにつれて増加している骨粗鬆症患者に対し、インプラント治療が必要となる症例が増加しており、骨粗鬆症患者においてインプラント周囲辺縁骨の吸収が有意に増加することや、骨造成後の成熟骨の形成が少ないといった報告がある。近年、骨代謝マーカーであるオステオカルシンと糖代謝との密接な関係が明らかにされており、糖尿病では骨質劣化型の骨粗鬆症を合併しやすいという報告がある。そこで、骨粗鬆症における骨代謝と糖代謝の関連性に着目し、糖代謝改善効果のある薬剤による骨粗鬆症における骨造成治癒動態への影響を明らかにし、造成骨の予後予測や維持、および骨吸収の予防法を新規開発することを目的としている。 2018年度はパイロットスタディとして、14週齢の雌性ラットに腹腔内麻酔下にて卵巣摘出術(OVX)と疑似手術(SHAM)を施し、それぞれのラットへ一個体あたり0.1ml/kgの生理食塩水を2群と、OVXを行ったラットへ一個体あたり0.1mg/kgのzoledronic acid(ZA)および、1.0mg/kgのDexamethason(DX)を1群に16週間、週に一度、皮下注射した。血糖値と体重は週に一度測定し、血中のオステオカルシン濃度を計測するために採血を行い、血清を分離した。 OVXおよびSHAM手術より8週後に腹腔内麻酔下にてラット頭蓋骨への外科処置を行い、頭頂部の皮膚を切開剥離し、直径5mmのトレフィンバーを用いて頭蓋骨に穴をあけ、骨補填材(β-TCP)を添加し、閉創した。外科手術より8週後に頭蓋骨を摘出した。 これから摘出した骨の評価(マイクロCT、HE染色)を行い、順次、糖代謝改善薬による効果を確認していく予定であったが、産前産後の休暇のため2019年度の1年間は研究を中断していた。今年度より実験を再開し、引き続き解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究内容において、ラットに対する外科手術が多く、その麻酔薬や鎮痛薬の調整や、外科手術が繁雑なため、外科手技を安定したものに確立することに時間を費やしたと考えられる。 また、昨年度は産前産後休暇および育児休業取得により1年間研究を中断していたため、2018年度の進歩状況をもとに記載している。現在パイロットスタディの解析をスタートさせ、引き続き14週齢雌性ラットを検体として、卵巣摘出術(OVX)を施し、骨粗鬆症モデルラットを作製し、糖代謝改善効果のある各種薬剤(metformin、exendi n-4、GluOC)を併用することで糖代謝・骨代謝クロストークの各指標の変化を明らかにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
パイロットスタディでの評価を確認したのち、骨造成後の新生骨量が糖代謝改善薬により増加するのかどうかをただちに実施する。 14週齢のOVXを行ったラットへ、一個体あたり0.1mg/kgのZAおよび、1.0mg/kgのDXを16週間、週に一度、皮下注射した3群に、糖代謝改善薬(metoformin:150mg/kg, exendin-4:10ug/kg, GluOC:3ug/kg)をそれぞれ週に一度腹腔内投与する。こちらの3群に関しても、血糖値と体重は週に一度測定し、血中のオステオカルシン濃度を計測するために採血を行い、血清を分離する。 OVXを行ってから8週後に腹腔内麻酔下にてラット頭蓋骨への外科処置を行い、頭頂部の皮膚を切開剥離し、直径5mmのトレフィンバーを用いて頭蓋骨に穴をあけ、β-TCPを添加し、閉創する。外科手術より8週後に頭蓋骨を摘出し骨造成の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度は産前産後休暇取得により研究を1年間中断していたため、次年度使用額が生じている。 2020年度4月より研究を再開させており、本年度は研究データの解析および追加実験を行い、学会での研究発表や報告を予定している。
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