2020 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝・骨代謝クロストークによる臓器間ネットワークに焦点を当てた新規骨質制御戦略
Project/Area Number |
18K17154
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
青沼 史子 九州歯科大学, 歯学部, 医員 (60815900)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 糖代謝 / メトホルミン / OVX / 骨造成 |
Outline of Annual Research Achievements |
インプラント治療やそれに伴う骨造成手術において、骨粗鬆症は直接的なリスクにはならないが、骨吸収を惹起するといった報告や、新生骨が有意に少ないといった報告がある。また、近年、骨代謝と糖代謝との関連が注目されていることから、今回、骨粗鬆症モデルラットを用い、頭蓋骨への骨造成手術後の薬剤治療による治癒動態への影響と糖代謝への影響を確認した。卵巣摘出術(OVX)を施行したラットに、骨粗鬆症治療薬(ゾレドロン酸およびデキサメタゾン)、経口糖代謝治療薬(メトホルミン)、生理食塩水のそれぞれを投与した3つの群と、疑似手術(SHAM)を施行した群を作製し、糖負荷試験および骨造成手術を実施した。糖負荷試験の結果では、卵巣摘出術後に生理食塩水を投与した群において、糖負荷後30分経過時の血糖値は他の3群と比較して上昇を示し、また、糖代謝治療薬(メトホルミン)を投与した群において、糖負荷後30分経過時の血糖値はSHAM手術を施行したコントロール群と比較して減少を示したが、有意差は認められなかった。さらに、上記4群に対し、骨造成手術を行い、術後4週の骨を採取し骨の治癒状態を確認した。SHAM手術を施行したコントロール群と比較して、OVX手術を施し生理食塩水のみを投与した群では骨の治癒が低下する傾向が示された。OVX手術後に骨粗鬆症治療薬を使用した群では、骨の治癒が改善する傾向が示された。糖尿病治療薬を投与した群においても骨の治癒は改善しているような印象を受けたが、こちらも有意差は認められなかった。現在も、採取した骨と血清を解析中である。骨粗鬆症モデルラットにおいても糖代謝と骨代謝が相互に影響を及ぼすことは明らかであり、創傷治癒にも重要な影響を与えていると考えられる。今後さらにその作用機序について検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言下において、在宅ワークを余儀なくされた期間は共同研究者と行う実験が進められなかった経緯がある。また、輸入品等において一部の試薬が入手困難となり、遅延したことも理由の一つとして挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験にかける時間や経費が限られるが、採取した全ての検体に対し、多方面的な解析を検討中である。また、採取した血清に対し、骨代謝マーカーであるオステオカルシン等も評価する予定である。現在のところ糖負荷試験においても骨造成術後の頭蓋骨における評価においても有意差は示されていないが、細胞レベルでの変化についても確認していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言下において、在宅ワークを余儀なくされた期間中、実験室への入室も困難となり、研究が進められなかった。 また、輸入品等において一部の試薬が入手困難な状況となったため研究の過程に遅延が生じた。現在、採取した検体を解析中である。 今後は学会発表等を行っていきたいと考えている。
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