2020 Fiscal Year Research-status Report
歯学部学士課程におけるプロフェッショナリズムの醸成過程と影響因子の解明
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18K17289
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大戸 敬之 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60754299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロフェッショナリズム / 医療プロフェッショナリズム / 省察 / PIF |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、2019年度で①プロセス基盤型教育で正規のプロフェッショナリズム教育が無く臨床実習やその他のヒドゥンカリキュラムでプロフェッショナリズムを学んだ学生のプロフェッショナリズムの醸成過程と、②アウトカム基盤型での正規のプログラムでのプロフェッショナリズム教育を受けた学生のプロフェッショナリズムの醸成過程との比較を行った結果を得ていたことから、その上で、環境要因の検討の一環として、プロフェッショナリズム教育を正規の授業科目として実施している他の大学の事例を検討することとしていた。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の関係で、他大学での特に学生を対象としたインタビューが困難となった。そのため、2019年度に検討事項の一つとしていた、アウトカム基盤型とプロセス基盤型のカリキュラムの違いからくる、単なる“カリキュラム評価”となっていないかどうかについての精査を行うこととし、木下らによる修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて、プロフェッショナリズムの醸成過程モデルの精緻化を行った。その結果として、本醸成過程モデルの構成要素自体は、教育課程によって大きな違いはなかったが、最も必要な資質については、「技術」と「患者に対する態度」とで違いが現れていた。影響要因については、個々人の能力や背景よりも臨床実習や完成型教育などの環境的な要因が考えられることが明らかとなった。このことは省察能力についても同様のことがいえることから、医療者の様々な能力との比較検討により、さらなる精緻化や多角的な分析が行えるのではないかと考えている。 以上の内容については、日本歯科医学教育学会を始めとする各種学会で発表をすることができた。今後は、より世界的な発信として国際誌への掲載を目指していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、プロフェッショナリズム教育を行っている他の大学の学生を対象としてインタビュー調査を行い、自大学での結果と比較検討を行うこととしていた。しかしながら、コロナ禍の影響により予定されていた内容がほとんど遂行することができなかった。このため、現状のモデルの精緻化を行ったことから、全体としての進捗状況は遅れている形となった。
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Strategy for Future Research Activity |
延長による2021年度は、他大学の学生へのインタビュー調査はコロナ禍の影響は続いていると考えられ、オンラインを通じてもやや困難であると考える。そのため、歯科医師として生涯学習の過程にいる方々に対して広く調査を行い、結果として歯学部の卒業時のプロフェッショナリズムの検討を行うなど、研究方法の変更を検討している。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、当初予定していた他大学での学生を対象としたインタビューが全く実施できない状況となった。そのため、次年度使用額が非常に多く存在する結果となった。依然としてコロナ禍が続いている状況であるため、学生を対象とした対面でのインタビューは未だ困難であると判断し、オンラインでのインタビューに切り替え、実施対象者も変更し、研究計画自体を変更した上で進めていくこととしている。
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