2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病関連歯周炎におけるエネルギー監視シグナルの終末糖化産物による修飾
Project/Area Number |
18K17300
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
石塚 洋一 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10637664)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 糖尿病関連歯周炎 / 終末糖化産物 / RAGE / AMP活性プロテインキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は糖尿病の合併症の1つであるが、この2つの疾病の間の相互関係や因果関係についてはいまだに解明されていない。近年、この病態に慢性的な高血糖によるタンパク質の糖化反応で生じる終末糖化産物(AGEs)の蓄積が関与していることが示唆されている。 歯周病とAGEs蓄積との関連を調べるため、ヒト歯肉上皮由来細胞株Ca9-22およびマウス骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を用いて、短期的なAGE-ウシ血清アルブミン(BSA)による細胞増殖・細胞死への影響を評価した。それぞれの細胞株で細胞増殖の抑制傾向を認めたが、細胞死の増加に関して、コントロールBSAとの比較で有意差は認められなかった。また、これらの細胞株に加えて、マウス唾液腺などでAGEsの受容体であるRAGEの発現およびAGEsによる発現誘導があるかについてmRNAおよびタンパク質レベルで調べた。いずれもその発現は、(これまでの研究で最も発現量が高いことが知られている)肺での発現と比較するとほとんど認められないレベルであった。したがって、歯周組織に対するAGEsの作用は、受容体を介した機序を経ないものと考えられる。 歯周組織のAGEs蓄積の非侵襲的な評価法を確立するため、研究者および研究協力者の唾液を用いて試験的研究を行った。ELISA法により、唾液中にAGEsが含まれていることがわかった。また、唾液中のどのタンパク質が糖化されているかを検討したが、現在までに、明確な結果を得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成30年度に計画していた、糖尿病モデルマウスを用いた歯周組織でのAGEsの蓄積およびRAGEの発現の評価に至らなかった。これまでに報告のある血管内皮細胞や幹細胞のようにRAGEの発現誘導がヒト歯肉上皮細胞株では認められなかった。また、AGEsの長期影響を評価するための、歯周組織でのアッセイ系の構築が進まなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1型糖尿病モデル(ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス)、2型糖尿病モデル(dbマウス)の歯周組織におけるAGEs蓄積とRAGE発現量の解析を進める。同時に、血清中のAGEsおよびHbA1cなどのアマドリ化合物やジカルボニル化合物の検出も行い比較する。 将来的な臨床応用には、非侵襲的なAGEs蓄積の評価法を確立する必要がある。唾液は様々なバイオマーカーを含んでおり、口腔粘膜も口腔内の環境を表す指標となり得る。そこで、唾液および綿棒で採取した口腔粘膜細胞を試料として、抗AGEs抗体を用いたELISA法などによる検出、AGEsのもつ自家蛍光を利用した光学的検出を試みる。同時に、口腔内の状況、血中AGEs濃度との比較の試験的検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
旅費として、研究成果の公表手段のため、学会発表旅費を予算に計上していたが、今年度は学会発表を行わなかったため、次年度使用することとした。
|