2018 Fiscal Year Research-status Report
地域における非小児科医向け児童虐待予防教育についての研究
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18K17310
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小橋 孝介 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (50814034)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 児童虐待 / プライマリ・ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
日本プライマリ・ケア連合学会会員を対象として、今まで明らかにされてこなかった、児童虐待予防における「支援が必要な家族」に気がつくという重要な役割を担う地域の非小児科医の児童虐待に関する理解と対応について、実態調査を行った。調査は以下の5項目についておこなった:(1)背景情報、(2)児童虐待事例の経験、(3)通告等の意思決定、(4)児童虐待対応で難しいと感じる点、(5)児童虐待に関する教育機会。5215名の日本プライマリ・ケア連合学会メーリングリストに登録している医師会員に対し調査票を送付し、109の有効回答があった。回答者の平均医師年数は15年(IQR=9年)で日常的に小児を診療している者が82.6%だった。そのうち28.3%は集に20人以上の小児患者を診療していた。児童虐待が疑われる児を診察した経験があると答えた者は62.4%であったが、22.8%は特に通告や相談等の行動は起こしていなかった。教育機会について、卒前教育の中で児童虐待について学んだ経験があるのは8.2%で医師免許取得後に何らかの研修等で児童虐待について学んだ経験があるのは34.9%だった。本研究は、非小児科医の中でも比較的小児診療を行っているような医師においても、児童虐待は小児人口100人あたり1人が通告されているという非常に頻度の高い事象であるにもかかわらず、本来気付くべき機会に気付けておらず、さらに気付いたとしても適切に対応が取られていない実態を明らかにした。その背景には、児童虐待に対する教育機会の乏しさがあることが示唆され、今後卒前教育の中での児童虐待対応に関する教育、医師免許取得後の生涯学習の中での児童虐待対応について学ぶ機会を増やしていく必要がある。本研究の目的とする教育プログラムの開発はこの結果の改善に寄与すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の予定である、日本プライマリ・ケア連合学会会員を対象とした実態調査を10月1日から11月30日までの間行った。本調査の結果については、第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会と併催されるWorld Organization of Family Doctors Asia Pacific region conference(WONCA) 2019において報告し、論文化を予定しいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度に行った実態調査から、プライマリ・ケアにおける非小児科医において、(1)児童虐待への気付き、(2)初動、の2つの課題があることが明らかとなった。これらの課題について、児童虐待対応に関する教育プログラムを構築しその効果を評価していく。また、教育プログラムの構築に合わせて、利用可能なコンテンツの作成も進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度調査票調査にかかる費用が削減できたため今回次年度使用額が生じた。次年度は非小児科医向けの教育プログラム作成を行う。この中で、教育ツールの作成等にかかる費用が見込みよりも多くなるため、次年度使用額については同開発にかかる費用として使用していく計画である。
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