2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of host immunity to permit rubella infection.
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18K17367
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
上林 大起 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (50622560)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 風疹ウイルス / 風疹ワクチン / 遺伝子型 / 液性免疫 / B細胞 / ヒトモノクローナル抗体 / 蛍光活性化セルソーティング(FACS) / エピトープ |
Outline of Annual Research Achievements |
【2018年から2019年の風疹流行要因の解明】2018年から2019年にかけて日本国内で風疹が流行した。大阪府内で核酸検査により風疹が確定された241症例中、119症例で遺伝子型を決定した。検出された風疹ウイルスの遺伝子型は、遺伝子型1E(118/119; 99.2%)、遺伝子型2B(1/119;0.8%)であった。遺伝子型1Eの風疹ウイルスについて、系統樹解析したところ東南アジア、東アジア地域を中心に検出されている遺伝子型1E-Lineage2に分類された。2018年の34週以降に検出された遺伝子型1Eの風疹ウイルスの遺伝子配列は99.2%から100%の相同性を有していた。患者の疫学情報から、抗体保有率の低い成人男性が流行の中心であったことが明らかになった。よって、海外から風疹ウイルスが持ち込まれ、国内の感受性集団の間で感染が拡大したと推測された(Kanbayashi et al., WPSAR.2020)。 【風疹ワクチンによって誘導される抗体のパネル化とエピトープの決定(外部機関との共同研究)】風疹ワクチンを接種した被検者の血液から蛍光標識した抗原(風疹ウイルスの不活化抗原、既知のエピトープを含むペプチド)と反応するB細胞をFACSにて分取することに成功した。現在、抗体のパネル化を行っている。取得された抗体のエピトープ解析を行う為、中和抗体の標的となる風疹ウイルスE1タンパク質全長、並びに、40アミノ酸毎に欠損させた短縮変異体を哺乳類細胞で発現させる為のプラスミド(11種類)を作製した。 【風疹の臨床症状と相関する免疫因子(immune correlate)の同定】大阪府内で確定された風疹症例について、臨床検体(血液、咽頭ぬぐい液、尿)中に含まれる風疹ウイルスゲノムコピー数、血清中に含まれる抗風疹ウイルス特異的IgM/IgG抗体価、抗風疹ウイルス特異的IgG抗体の抗原に対するAvidity(親和性)を測定した。今後、サイトカインなどの測定を行い、臨床症状と上記因子の相関について評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書に記載した事項について、概ね計画通り研究を進めることができた。大阪府内で報告された風疹確定症例の持つIgM抗体、IgG抗体、IgG抗体の親和性(Avidity)の測定結果から、初感染と再感染が疑われる症例を振り分けることが出来た。また、ワクチン接種者の血液から網羅的にヒトモノクローナル抗体を作製する研究を開始することが出来た。上記解析の実施により、初感染、再感染時における宿主免疫の特性、風疹ワクチンが誘導する免疫並びに風疹ウイルスの理解の深化、治療・発症予防薬の開発、サブユニットワクチンの開発など、ウイルス学の発展や社会に貢献出来る知見が得られると考えられる。2017年には手足口病の流行が、2018年から2019年にかけて風疹の流行が発生したが、それぞれの流行について学術誌に報告することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
【遺伝子型2B RV株のB細胞エピトープの同定と中和反応に対する寄与度の明確化】野生型RVLPと変異型RVLPを抗原として中和抗体価を測定する。中和抗体の反応性低下に寄与した変異を同定し、同定された各アミノ酸変異の液性免疫回避に対する寄与度を明確にする。 【風疹ウイルス複製制御因子IFNλの胎盤低応答性の分子メカニズムの解明】ヒト胎盤由来細胞株について、複製制御因子IFNλの胎盤低応答性の分子メカニズムを明らかにする。 【風疹の臨床症状と相関する免疫因子(immune correlate)の同定】当所が収集した風疹患者血清パネルや患者の末梢血単核球(PBMC)を使用し、血清生化学的検査所見およびサイトカイン類の誘導量を蛋白質・mRNAの発現プロファイリングにて評価する。患者の臨床症状と採取した血液・尿・咽頭ぬぐい等の患者検体に含まれるRVコピー数との相関を解析し、風疹症状の程度と相関が認められる因子を同定する。生物活性物質である場合には、in vitro感染モデルでRV複製に与える影響を評価する。 【風疹ワクチンによって誘導される抗体のパネル化とエピトープの決定】ヒト血液から網羅的に抗原に反応する抗体を作製しパネル化する。その中から、中和活性等を持つ機能性抗体を探索する。ワクチンが効果を発揮できない免疫学的弱者における感染防御や妊婦の予防的並びに急性感染の治療に使用できる抗体医薬品の開発に繋がる知見を得る。また、中和活性の強い抗体が認識する部位(エピトープ)を決定し、妊婦にも使用できるサブユニットワクチンの開発など、より効果的なワクチンの創生に貢献できる基盤情報を蓄積し公衆衛生の向上に貢献する。当該研究は、B細胞1個から抗体遺伝子を増幅し、無細胞タンパク質合成系で抗体を発現させる技術を持つ外部機関との共同研究で行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、これまで獲得した研究費で購入した試薬の残余分を使用し実験を行った。今年度実施する研究に資金を充填することで、ワクチンが誘導する宿主免疫並びに風疹ウイルス理解の飛躍的な向上に貢献できる成果が得られると考えられる。
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Remarks |
【講演活動】①2019.4.13:大阪小児感染症研究会 第28回講演会「大阪府における2018年の風疹流行について」、②2019.10.21:令和元年度保健師研修「感染症コース」 【査読】Scientific Reports
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Ongoing rubella epidemic in Osaka, Japan, in 2018-20192020
Author(s)
Daiki Kanbayashi、Takako Kurata、Hideyuki Kubo、Atsushi Kaida、Seiji P Yamamoto、Kazutaka Egawa、Yuki Hirai、Kazuma Okada、Ryo Ikemori、Takahiro Yumisashi、Akira Yamamoto、Hideki Yoshida、Takanori Hirayama、Kazuyoshi Ikuta、Kazushi Motomura
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Journal Title
Western Pacific Surveillance and Response Journal (WPSAR)
Volume: 11
Pages: 48-50
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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