2021 Fiscal Year Research-status Report
在宅・介護領域における安楽なケア提供に向けた力学的解析
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18K17478
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
加悦 美恵 久留米大学, 医学部, 准教授 (80330869)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 看護学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、療養者に対するケア場面においてどのような手の触れ方で行ったときに療養者にとって安楽であるかを力学的に明らかにすることを目的としているが、当初計画していた手の圧力測定方法を大幅に変更することになった。理由は、COVID-19感染拡大に伴い、予定していた圧力測定フィルムを被験者の手に貼りつける際に、互いに密接し時間もかかるため、感染リスクを伴うと判断した。 改めて文献検索を行い、手指圧力測定にワイヤレス触覚測定システム(米製)を使用するよう変更した。素材は伸縮性のある布で、指サックタイプとバンドエイドタイプで被験者自身で取り付けることができるものである。ワイヤレスのため被験者と測定者が近接する必要もない。 この変更した測定用具による在宅・介護場面での測定に先立ち、今年度、健康な学生を対象にこの測定装置を用いてケア場面における手指圧力測定の実験を試みた。内容は「臨地実習における洗髪援助の経験と指腹の圧力の関係」について、看護大学4年生の女子学生12名を対象に、2021年8-9月に実験を行った.測定にはFingerTPS(指用触覚圧力検出システム)を使用し、洗髪時に指腹にかかる圧力を数量化した.センサーを被験者の利き手の母指,示指,中指に取り付けて1秒間に20データ収集した.洗髪は,洗髪台で看護実習用マネキンを半臥位の姿勢にして、被験者が普段患者にするやり方で行った.結果、洗髪時の指腹の圧力は,臨地実習における洗髪経験5回以上で2.0N以上と圧力値が高かった.経験1~3回では側頭部の洗浄時に母指の圧力が最も高く,次いで示指,中指であったが、5回以上では中指の圧力が最も強く,次いで示指,母指であった.臨地実習で洗髪経験を重ねることで,洗髪動作を一定以上の圧力で行える可能性と経験回数によって指腹の圧力のかけ方に違いがみられた. これらより、本研究の手指圧力測定にこれらの測定方法が活用できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染拡大を受け、計画していた手指圧力測定方法では感染リスクがあると考え、別の方法を文献検索を通して模索した。手続きを経て測定装置を米国から購入し、測定方法に関しWebミーティングで計測の仕方を教わるなどした。在宅・介護領域での測定に先立ち、健康な人を対象にした洗髪の実験を行った。これらに時間を要し、計画していた対象・方法でも実験に至っておらず、進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
療養者に対するケア場面においてどのような手の触れ方で行ったときに療養者にとって安楽であるかを力学的に明らかにするために、測定用具をFingerTPS(指用触覚圧力検出システム)に変更することにしたため、その内容で倫理申請を進め、対象施設に依頼し、実験を行う。 当初計画では対象を在宅・介護領域で病院、高齢者施設、在宅で療養者の身体に直接手を触れてケアする看護師、介護福祉士、訪問介護員、家族各10名程度を被験者と計画していたが、訪問介護員、家族は専門職ではなく、COVID-19感染防止対策の観点から、今回は本実験では被験者から除外することとする。予備実験では数名でも協力を依頼し、将来的に本実験の測定対象とする。 また、実験環境としては、測定条件をそろえるために、大学施設内の実験室または、被験者の所属する施設内で環境をそろえて行う。日頃、手で触れる対象者の状況に関して、関節拘縮の有無、ドレーンの有無、ベッド柵の有無等については調査紙にて回答を得る。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大に伴い、在宅・介護領域で病院、高齢者施設、在宅で働いている看護師、介護福祉士を対象にした実験ができなかったため、実験にかかる人件費および被験者への謝金代の支出がなかった。次年度、実施予定であるため、人件費・謝金を使用予定である。
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