2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of patient-participatory nursing program to ease dietary intake difficulties during hematopoietic stem cell transplantation
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18K17498
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
脇口 優希 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (90520982)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 造血細胞移植 / 食事摂取 / 患者参加型 / 看護 / プログラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血細胞移植患者が食事摂取困難をマネジメントする際に、どのような価値基準や精神力動が働いているのかをより深く理解するために、看護学領域だけでなく行動経済学、心理学に関する書籍を検索し検討した。人間が自分にとって都合の良いように認知するという「錯誤相関」、不満な気持ちのバランスをとる「認知的不協和の解消」、満たされない欲求を合理的な理由をつけて自分が傷つかないようにする「合理化」、災害など危機的な情報から回復する際の鍵となる「精神的回復力」など、苦痛を体験している患者の主観的世界に影響を与える概念を検討した。 さらに、フィールドワークとして日本看護科学学会に参加し、看護ケアプログラム開発を行う研究者らと患者の体験を明らかにした質的研究とその評価を行うための量的研究の統合的研究法について意見交換を行った。さらに、The International Society of Pediatric Oncology、American Society for Parenteral and Enteral Nutritionの学術集会に参加し造血細胞移植患者の食事摂取困難に携わっている医師、管理栄養士、Nurse Practitionerと意見交換を行い、①米国における静脈栄養は栄養状態だけでなく患者の症状、疾患、治療などによって詳細に計画されておりその判断は看護師・栄養士・薬剤師が行っていること、②米国と比較して食事に対する意味づけが重い日本においては食事習慣に関連した文化的背景が患者の体験に大きく影響を与えていることが明らかとなった。 今後、看護ケアプログラムを開発するにあたり、移植経験者によるエキスパートパネルを計画している。そのためのネットワークづくりとして、患者会活動が盛んにおこなわれているAYAがんの医療と支援のあり方研究会において、協力者の募集を行い一定の成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度~平成31年度は、「造血細胞移植中の食事摂取困難を緩和する患者参加型看護ケアプログラム」の開発のために診療録情報に基づいた調査を予定していたが、協力予定施設の診療録フォーマットや入力内容のばらつきが大きく、予定していた指標のデータ収集を十分に行うことができないことが明らかとなった。その為、定性的調査を新たに実施する時間が必要となったため、進捗状況をやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、看護介入プログラムの枠組みとなる状況特定理論(situation specific theory: SST)構築とそれに基づいたプログラム開発を行う。 まず、本研究の基盤となる移植患者の食事摂取困難に関する質的研究の洗練と、影響を与える要因に関する文献検討等を含めた質的研究結果の融合を行う。理論構築に当たっては、SST構築の先駆者であり看護理論家のDuke大学Dr.Im教授に研究相談を行い助言を得ながら進める予定である。次に、施設の現状に応じた定性的調査によって看護介入アウトカム評価のための指標を明確にする。
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