2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症カフェにおける市民ボランティアの体験と認知症の理解
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18K17600
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
菅沼 真由美 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (50597028)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症カフェ / 市民ボランティア / 認知症の理解 / 専門職支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
「認知症カフェ(以下カフェ)」は、新オレンジプラン(厚生労働省:2015)で設置が推 進されている。カフェの参加する市民ボランティア(以下ボランティア)が、認知症を適切に理解できるための支援方法を検討するために、カフェへの参加によるボランティアの1)認知症と認知症の人に対する認識、2)カフェでの体験と専門職による支援を明らかにするために調査を進めている。 2019年度は、前年度に調査したカフェとは別のカフェに参加しているボランティア5名に面接を実施した。前年度のインタビューの結果と合わせて分析をした。研究参加者は女性10名、平均年齢は67±4.3歳(63~75歳)、カフェへの参加経験3~4年、認知症高齢者への家族としての介護経験者は6人(娘4名、嫁2名)であった。ボランティアはカフェに参加することで、認知症を病気として受け止め、認知症の人を何も変わらない人であると理解し、誰もが当事者になるうることを認識していた。カフェでの認知症の人と家族との交流を通して、外見からはわからない多様な症状を理解し、接し方と認知症の人の反応、家族の介護の工夫や苦労など、認知症の人と家族の状況の理解はできていた。しかし、認知症症状の意味、個別性に合わせた対応、行動心理症状(BPSD)への対応は、専門職からの説明を必要としていた。 ボランティアが認知症と認知症の人への対応を適切に理解できるためには、カフェで直接交流し、ボランティア同士で体験を共有すること、認知症の中核症状、行動心理症状があることでの認知症の人の思い、本人の思いに合わせた対応を理解できるような支援が必要である。 今後、さらに、新たなカフェに参加するボランティアにインタビューを行い、結果の一貫性を高めること、支援方法を検討することが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収集は、2019年度中に、研究参加者へのインタビューを終える方向で、2020年度2月にインタビューを実施する予定であった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、カフェの閉鎖により、研究参加者のリクルートとインタビューができず、データ収集が遅れている。 データ分析については、逐語録を作成し分析した。結果は、「認知症カフェへの参加による市民ボランティアの認知症と認知症の人に対する認識」について、学会発表(The 6th International Nursing Research Conference of World Academy of Nursing Science February 28-29 Japan Osaka 紙上発表)を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集については、2019年度までに、2ヶ所11名の研究参加者のインタビューを終了した。認知症と認知症の人に対する認識や、カフェでの体験と専門職による支援も、認知症カフェの特性により、異なると推測する。結果の一貫性を高めるために、今後さらに2ヶ所以上、5人以上の研究参加者へのインタビューは必要である。2020年度、新型コロナウイルス感染症にともなう自粛解除後に新たな「認知症カフェ」において、研究参加者を募り、インタビューを行う予定である。 収集内容は、2019年度に認知症の人自身の意思をどう捉えているか、ボランティアの認知症の理解に影響をした具体的な体験を問う質問をインタビューガイドに追加した。市民ボランティアが適切に認知症を理解できるための支援方法を検討するために必要であるため、追加内容も含めて継続してデータ収集を行う。 ボランティアのカフェでの体験と専門職からの支援は、現段階での分析結果について、日本老年看護学会学術集会(6月)において、誌上発表の予定である。 認知症カフェへの参加によるボランティアの認知症と認知症の人に対する認識については、一定の示唆が得られたので、論文として投稿できるように準備を開始する。
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Causes of Carryover |
設備備品費:データの逐語録作成のために、平成30年度購入予定であったパソコンを購入する。人件費・謝金:①2020年2月にデータ収集できておらず、2020年度にデータ収集するデータの逐語録入力が必要になるため、人件費が必要である。②データ分析を進め、論文を作成する上で、スーパーバイザーへの依頼の謝金が必要である。国内旅費:日本認知症ケア学会、老年看護学会については、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、すべて誌上発表となったため、国内旅費は使用しなかった。その他:誌上発表のための学会参加費とポスター作成費および論文の英文校正費として使用する。
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