2018 Fiscal Year Research-status Report
Modeling pathways between social determinants of health and early menarche: Japan-UK comparative study for women's health
Project/Area Number |
18K17655
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
梅田 麻希 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (40424311)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 健康の社会的決定要因 / リプロダクティブヘルス / ジェンダー / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、女性のリプロダクティブヘルスの「健康の社会的決定要因」とそのメカニズムを日本と英国の大規模調査のデータを用いて検討し、生物学的・社会的性である女性の健康を推進する方策を、日英比較を通して検証することを目的としている。研究初年度である2018年度は、26カ国の大規模国際共同研究World Mental Health Surveyの日本調査(WMHJセカンド)のデータを用いて、WMHJセカンドのデータを用いて、早発初潮と幼少期の社会経済的状況(貧困や親の低学歴)、それらと関係の深い養育環境(親の離婚・再婚、親からの虐待)との関連を解析し、日本における早発初潮の先行要因を検討した。 20歳から75歳までの女性のデータ(1,171名)を用いて分析した。初潮の年齢は若年化しており、早期初潮も若年層(20-30歳代)に多かった。ロジスティック回帰分析(年齢で調整)を用いて関連要因を分析したところ、11歳以前に初潮を迎えた早期初潮のグループでは、幼少期の性的虐待経験が有意に多いことが明らかになった。しかし、子ども時代の貧困や親との離別などの幼少期の困難な家庭環境や、学歴や10代の妊娠、早期の就労等の若年期の社会経済的要因は、早期初潮と統計的に有意な関連を有していなかった。 これらのことから、日本において早期に初潮を迎えている群では、性的虐待を体験したものが多いことがわかった。その他の社会経済的要因とは統計的に有意な関連を見出せなかった理由としては、サンプルサイズの小ささや、対象者の年齢幅の大きさによる関連性の減弱などが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおりWMHJセカンドのデータを分析し、女性のリプロダクティブヘルス(初潮のタイミング)に関連する子ども時代の要因(家族関係要因や社会経済要因)について検討することができた。データ分析の結果はこれから論文化するため、文献レビューの作業を追加して行う必要がある。そのため「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、WMHJセカンドのデータを用いて、早発初潮と精神保健(抑うつ、アルコール・薬物乱用/依存、自殺、主観的健康など)との関連、これらの関連に社会経済的要因(早期の妊娠、低学歴、不安定な就労、貧困)が及ぼす媒介効果について解析する。研究成果を論文化し、英文誌に投稿することを目指す。
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Causes of Carryover |
情報収集のための学会参加に交通費が掛からなかった。また、文献レビューに遅れがあり、資料整理等のための人件費が少なかった。このため、次年度への持越し金が生じた。一方、所属機関の異動があり、必要な物品の購入に費用を当てたため、物品費は予算を上回った。
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