2019 Fiscal Year Research-status Report
Examination of a new evaluation method using the sound heard from inside the ear
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18K17674
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 優実 九州大学, 大学病院, 言語聴覚士 (90788605)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 耳内嚥下音 / 嚥下障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、嚥下障害を生じやすい中枢性の疾患例と嚥下正常例の、耳内嚥下音と喉頭挙上遅延時間の時間的関連性について比較検討を行った。 嚥下の惹起性がよく保たれている症例においては、昨年の研究結果と同様に、耳内嚥下音のタイミングと喉頭挙上遅延時間の関係性は、有意な相関関係を示しており、耳内嚥下音が生じるタイミングが、鼻咽腔閉鎖および喉頭挙上の開始にほぼ一致していた。つまり、耳内嚥下音は、咽頭期嚥下開始時に生じる耳管の開大・閉鎖に関連した音である可能性が極めて高いことを支持するものであった。一方、少数例ではあるが、中枢性疾患により咽頭期嚥下の喉頭挙上遅延時間が極端に延長した症例では、咽頭期嚥下の一定のシークエンスにおいて、耳内嚥下音の発生から喉頭挙上が開始される時間が負の値をとるほど、喉頭挙上開始時間は大きく左方移動していた。しかし、その場合においても耳内嚥下音が生じ、喉頭が最高位に挙上するまでの時間は平均値付近から大きく逸脱するような延長は認めなかった。また、耳内嚥下音が生じた後に、喉頭が最高位に挙上する時間的順次性も保たれていた。つまり、咽頭期嚥下の惹起性が著しく低下した症例においても、一旦咽頭期嚥下が開始されれば嚥下出力のシークエンスはほとんど変動しないことを示しており、これらのことは、中枢における嚥下のパターン形成器(CPG)の性格をよく反映しているものと考えられた。本年度は中枢性の症例が少なかったため、今後症例数を増やし、さらに検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常例で得られた結果の論文を投稿し、学会誌に掲載された。 嚥下障害を起こしやすい、中枢性の疾患対象とした、データを収集し解析し始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
嚥下機能正常例と中枢性の疾患例における耳内嚥下音と喉頭挙上遅延時間について比較検討する。 中枢性の疾患例を増やす。
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Causes of Carryover |
次年度、mac osに対応していない解析ソフトを使用する予定があり、windowsパソコンを購入しなければならないため。
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