2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17780
|
Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
伊藤 智崇 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (90587297)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 運動学習 / 身体認知 / 歩行 / 左右分離型トレッドミル / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動の学習を通して自己の身体に対する認識(身体認知)が変容し、姿勢や身体の垂直認知に偏倚が生じることがある。先行研究では、慢性期の脳卒中患者を対象に、左右のベルトが異なる速さで動く“左右分離型トレッドミル”を用いて歩行練習を行うことで、歩行後に非対称的な歩容が改善したと報告されている。この即時的な効果の要因としては、運動機能の改善よりも脳内での身体認知の変容が関与していると考えられるが、このメカニズムついては明らかにされていない。そこで我々は、左右分離型トレッドミルを用いた歩行の運動学習と学習の結果生じるであろう身体認知変容との関連を明らかにすることを目的に現在研究を進めている。 平成30年度(初年度)は、脳機能イメージング技術を用いて左右分離型トレッドミル歩行中の脳活動を計測する予定であったが、測定・解析方法の検討や実験用機器の購入に時間を要したため、当初の計画通りに実験を開始することができなかった。そのため、今年度の後半からは予定を変更し、次年度の研究計画内容であった左右分離型トレッドミル歩行が身体認知に与える影響を解明するための実験をスタートさせた。 現時点では予備実験が終了し、歩行条件や歩行パターンの変化の計測方法、身体認知変容の評価方法など、具体的な実験条件や計測・評価方法に関する検討を終えた段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は研究計画1として左右分離型トレッドミル歩行中の脳活動を計測する予定であった。しかしながら、実験環境の整備とテクニカルな問題の解決に時間を要したため、計画を変更し、先に研究計画2として考えていた左右分離型トレッドミル歩行後の身体認知の変容に関する実験を開始した。 本研究では、トレッドミル歩行後の身体認知の変容を評価する方法の一つとして、自己の身体の垂直認知の変化を評価している。この評価を正確かつ簡便に行うために、今年度は垂直軸傾斜評価システムの作成を業者に依頼した。評価システム作成の過程では、評価内容に関する打ち合わせや、購入後の不具合の修正などを繰り返し行う必要があり、実験で使用できるようになるまでにかなりの時間を要した。 現時点では、予備実験の結果を踏まえ、実験条件やプロトコル等の見直し・修正を行い、本実験に入る準備まで完了した状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度内に評価システムの問題点を修正し、予備実験まで終えることができた。令和元年度の前半は、左右分離型トレッドミル歩行後の身体認知の変容に関する研究を推し進め、実験データの集積と解析までを行う予定である。後半には、得られたデータに関する学会発表の準備と論文執筆を行うとともに、脳活動の計測実験をスタートできればと考えている。脳機能イメージング技術を用いた研究の実施が困難となった場合は、研究計画3の内容である経頭蓋直流電気刺激を用いた実験を令和元年度中に開始する予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) 前倒し支払い請求をして開発・購入を進めていた本研究用の機械振動刺激装置がまだ完成していないため、次年度使用額が生じている。 (使用計画) 機械振動刺激装置が完成し次第、購入のために助成金を使用する計画である。また、助成金は、研究成果をまとめた論文の英文校正代や、学会発表をするための旅費として使用する予定である。
|