2018 Fiscal Year Research-status Report
アスリートの運動時における脳内神経基盤ネットワークの解明
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18K17883
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
赤澤 暢彦 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (30713250)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | fMRI / 実行機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスリートは高速で動くボールや相手および味方選手の情報を確認して、瞬時に意思決定してプレーに移らなければならない。すなわち、最高の競技パフォーマンスを発揮するためには、注意力、判断力、情報処理能力などの認知実行機能が影響すると考えられている。これまでに、アスリートの認知実行機能は一般健常者と比べて優れていることが明らかにされているが、その生理学的機序は明らかにされていなかった。本研究では機能的磁気共鳴装置(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)を用いた脳機能イメージング手法に着目して、アスリートが優れた認知実行機能を発揮する生理学的機序の解明を目指している。 本年度は、一般健常者8名を対象に安静時における認知実行機能中の脳活動状態にて測定した。認知実行機能の評価には単純課題と実行課題から構成されるストループテストを実施して、それぞれの課題の反応時間やストループ干渉を測定した。脳活動の評価には、3T MRI装置を用いて、認知実行課題中におけるfMRIの撮影を実施し、脳活動部位を特定した。単純課題と実行課題で、脳活動が変化せず同一のパターンを示す非反応群(NON群)と単純課題より実行課題時に有意な脳活動増加を示した反応群(RES群)の2群に分けて、ストループテストの反応時間を検討した。単純課題の反応時間は両群で有意な差は認められなかった。NON群における実行課題の反応時間はRES群に比べて有意に短い値を示した。これらのことから、実行課題における脳活動の増加が少ない者は速く反応できており、脳活動賦活と反応時間は関連する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、fMRIを用いて認知実行機能に関わる脳活動状態を検討することができて、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は安静時における脳活動状態を検討してきた。2019年度は一過性の運動負荷試験を実施し、その前後にて変化する脳活動状態を検討することが課題となると考えられる。
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Causes of Carryover |
予定していた機器の購入や消耗品の支出が少なく済んだために、次年度使用額が生じた。 次年度は、予定よりも被験者を多く募集することができる。また、研究打合せや学会参加費に使用する予定である。
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