2020 Fiscal Year Research-status Report
アスリートの運動時における脳内神経基盤ネットワークの解明
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18K17883
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
赤澤 暢彦 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (30713250)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知機能 / 疲労 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
アスリートは、スポーツ競技中に高速で動くボールや相手および味方選手などの情報を確認して、瞬時に意思決定してプレーに移ることが求められている。これらの一連の動きには、注意力、判断力、情報処理能力などの実行機能が影響すると考えられている。これまでに、アスリートの実行機能は一般健常者と比べて優れており、競技パフォーマンスレベルと関連することが報告されている。しかし、疲労実行機能を発揮するための生理学的機序は不明な部分が多い。本研究では、機能的磁気共鳴装置(functional magnetic resonance imaging: fMRI)を用いた脳機能イメージング手法による脳活動動態に着目し、疲労困憊運動が認知機能および脳活動動態に及ぼす影響を検討した。今年度は、一般若年男性19名を対象に疲労困憊運動を実施して、その前後にて実行課題中の脳活動動態をfMRIにて測定した。疲労困憊運動には、自転車エルゴメーターを用いて、漸増運動負荷試験を疲労困憊まで実施した。実行機能の評価には、単純課題と実行課題から構成させるストループテストを実施し、ストループ干渉を評価した。脳活動動態の評価には、3T MRI装置を用いて、T2*エコープラナー法によりBOLD信号を測定して、脳活動部位を特定した。本研究では、疲労困憊運動の前後で、ストループ干渉が延長したストループ干渉低下群とストループ干渉が短縮したストループ干渉向上群に群分けして、それぞれの脳活動動態を解析した。ストループ干渉向上群では疲労困憊運動の前後で脳活動パターンの変化は認められなかった。一方、ストループ干渉低下群では、中前頭回および上前頭回における脳活動賦活の増加が認められた。これらのことから、疲労困憊運動によって認知課題中の脳活動パターンが変化することで、認知パフォーマンスの低下に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、疲労困憊運動前後における脳活動動態を認知機能が低下する群と向上する群に分けて検討し、群間で異なる脳活動パターンを示すことができた。また、ABiS先端バイオイメージング支援プラットホームの支援を受け、さまざまな解析を実施することができるようになった。しかし、予定していたより少ない人数での実験実施となったため、やや遅れているという判断になった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アスリートなどを対象に、運動能力の違いが認知機能や脳活動動態に及ぼす影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
予定より実験の実施や学会参加ができなくなり、次年度使用額が生じた。 次年度は、その分を実験消耗品や研究会などに充てる予定である。
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