2018 Fiscal Year Research-status Report
パケット処理キャッシュを用いたパケット予測処理に関する研究
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18K18022
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
八巻 隼人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (20782197)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パケット処理 / インターネットルータ / 初期参照ミス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,パケット処理キャッシュ(PPC)において従来改善が困難であった初期参照ミスについて分析し,PPCの性能に初期参照ミスが大きな影響を与えていることを明らかにした.初期参照ミスは,通信フローの1パケット目においてキャッシュが初めて参照されるために生じるキャッシュミスである.様々な実ネットワークにおけるPPCのキャッシュミス率を測定し,初期参照ミスの割合を分析したところ,およそ半数以上が初期参照ミスであることが判明した.これは,その他の容量性ミスや衝突性ミスがまだ改善可能であることを考慮すると,初期参照ミスがPPCにおいて性能ボトルネックを作り出す主な要因になることを示している.本研究において提案するパケット予測処理手法の評価はまだ行えていないが,提案手法の目的とするPPCにおける初期参照ミスの削減がルータの性能向上に大きく貢献できる可能性を示した. また,2018年度はこれまでの研究計画では考慮に入れていなかった,ルータ内のパケットメモリにも着目し,最適なアーキテクチャの検討を始めている.PPCは従来のパケット処理に加えてキャッシュアクセスを含むため,パケットの処理遅延自体は増加する.ルータ内ではパケット処理が終了するまで当該パケットをメモリに保存しておかなければならず,処理遅延の増加はメモリ容量の増大を招き,結果として更なるメモリアクセス遅延の増加やメモリ消費電力の増大につながる.そこで,2019年度はパケット予測処理を行うことで削減できるパケットメモリ容量にまで着目し,提案手法の評価を行うことを目標とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,2018年度において,提案するパケット予測処理のシミュレーションを行い,初期参照ミスの改善度合いについて評価を得る予定であったが,想定以上に初期参照ミスの分析とパケットメモリについての検討に時間を割いたため,計画通りに実施できていない.しかしながら,分析によって,前述したように初期参照ミスがPPC搭載ルータの性能に与える影響は非常に大きく,本研究の意義が高いということを改めて定量的に示せている.また,今まで未考慮であったパケットメモリに関しても,ルータにおいてパケットメモリは面積,アクセス遅延,消費電力など様々な観点からボトルネックとなりうる要素であるにもかかわらず,これまでパケットメモリまで考慮した研究は少なかった.本研究では,パケットメモリまで考慮に入れることでより実用的な評価を行えることが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は当初の研究計画に含まれていない,パケットメモリに関する検討に時間を要してしまったが,今後は当初の研究計画を踏まえ,まず①提案手法のシミュレーションによりPPCにおける初期参照ミスの削減率を評価し,次に②FPGAを対象として提案手法をハードウェアデバイスへ実装する予定である.当初の計画では考慮していなかったが,FPGAに実装する際にパケットメモリまで含めて実装することを予定している.
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Research Products
(2 results)