2018 Fiscal Year Research-status Report
電力効率と設計生産性に優れたロボットシステムの実行基盤技術および設計方法論
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18K18024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高瀬 英希 京都大学, 情報学研究科, 助教 (50633690)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 組込みシステム / ロボティクス / 協調設計 / FPGA / オペレーティングシステム / 分散システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度前半には,まず,研究題材であるモバイル型サービスロボットの整備に取り組んだ.提案者のこれまでのロボットシステム開発の経験を活かしながら,ヘテロジニアスSoCを採用した組込みデバイスを搭載する自律走行型移動ロボットを開発した.本ロボットは,ロボットシステム開発のデファクトスタンダードであるROS(Robot Operating System)のエコシステムの恩恵を活用しながら,FPGAの統合開発を可能とする開発プラットフォームとして整備した.この取り組みを通して,電力効率とリアルタイム性に優れたサービスロボットを実現するための要件定義を明らかにした. 電力効率とリアルタイム性に優れたROSノードの省電力リアルタイムスケジューリング理論として,エリアカバレッジタスクにおける移動ロボットの動作計画決定手法の研究に取り組んだ.自律走行型移動ロボットを対象として,その回転動作を考慮しつつ,与えられたタスクの達成時間を最小化するアルゴリズムを開発した. 加えて,実行プラットフォーム技術としてmROSと呼ぶ組込みデバイス向け軽量実行環境の研究開発を推し進めた.特に,効率的な出版購読型通信のためのタスク間同期・通信手法,および,ROSのソフトウェア開発において独自の型定義を可能とするMessageTypeの対応に取り組んだ.組込みデバイス向け軽量実行環境mROSの研究成果については,本分野で著名な国際会議ASPDAC2019において招待講演を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では平成30年度は研究題材であるモバイル型サービスロボットの整備に重点的取り組む予定であった.実績としては,題材整備のロボット開発のみならず,性能対電力効率を考慮した移動ロボットの行動計画決定アルゴリズムの確立も大きく進展した. 自律走行型移動ロボットの開発ならびにROSとFPGAの統合開発を可能とする開発プラットフォームについては,国際会議1件,国際展示会1件,国内研究会3件の発表を実施した.特にこれを応用したロボットは,FPGAの設計技術に関する国際会議FPT'18に併設されたFPGA Design Competitionにおいて1st Prize,組込みシステムに関するワークショップにおいてベストプロダクト賞ゴールドを受賞した.移動ロボットの行動計画決定アルゴリズムについても,国際会議APRIS2018におけるOutstanding Paper,および,組込みシステムシンポジウム2018における優秀論文賞を受賞した.このとおり,国内外からも研究成果に対して高い評価を得ている.
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Strategy for Future Research Activity |
電力効率と設計生産性を同時に追求するシステムレベル方法論を確立する2つの研究課題を並行的に進める. 実行プラットフォーム技術については,組込みデバイス向け軽量実行環境mROSの研究開発をさらに推し進め,電力効率とリアルタイム性に優れたROSノードの省電力リアルタイムスケジューリング理論,効率的な出版購読型通信のためのタスク間同期・通信手法,および,FPGAハードウェアの管理機構について設計検討を進めていく.本技術は,今年度に整備した評価用システムに対してその成果を適用していく予定である. 設計生産性の向上に資するシステムレベル設計技術については,まず,ヘテロジニアスSoCを対象としたソフトウェア志向のROSノード協調設計環境の研究開発に取り組む.特に,処理の配置やデータ通信方式を指定するための構成記述の仕様について検討し,これに対応できる自動合成フローを構築していく.分散システムにおけるタスク配置ならびに資源スケジューリングの統計解析アルゴリズムについては,統計解析に適したプロファイル情報の形式,および,短期間で所望の最適解を得るための統計手法について議論を進める.
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