2018 Fiscal Year Research-status Report
プロセス間負荷分散のための可変スレッド環境を提供する革新的なライブラリの開発
Project/Area Number |
18K18059
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
河合 直聡 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 特別研究員 (80780791)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 負荷分散 / Hybrid並列化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はユーザーから提供される無次元化されたパラメータを元に、プロセス辺りのスレッド数を決定、変更するライブラリの開発を行った。同時に、本ライブラリの効果を評価するためのアプリとして、Hybrid並列化されているが、負荷の不均衡が問題になっているアプリの調査および検証を行った。 本ライブラリでは、プロセス毎のスレッド数を決定するために、ユーザーから無次元化されたパラメータが提供されることを前提としている。昨年度に開発したライブラリは無次元化されたパラメータに基づいてプロセス毎のスレッド数を変更した環境を提供する。 次に評価対象として適したアプリケーションの調査および評価を行った。本研究で提案する手法が有効となるのはHybrid化されたアプリケーションである。最終的には負荷均衡の大きく崩れたアプリケーションも評価対象とするが、初期検証にはある程度負荷均衡が取られたアプリケーションが妥当である。初期の評価対象としては、疎行列ベクトル積、IC前処理付きCG法、階層行列ベクトル積の3つを対象として抽出した。粗行列ベクトル積はプロセス毎の負荷を任意に変化させやすく、初期の評価として適している。IC前処理付きCG法は申請者が開発しているライブラリであり、多色順序付けを適用してHybrid並列化を実現しているが、完全な負荷分散が難しいアプリケーションであるためこれも評価対象として適当である。また、階層行列は近年、密行列の近似手法として着目されているが、プロセス毎の演算量を容易に推定できないため、完全な負荷分散が難しいアプリケーションとして知られている。よって、本アプリケーションも評価対象として選択した。現在はこれらのアプリケーションに開発したライブラリを適用し、評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅延は申請者の所属変更に伴う人的資源の分配ミスに起因する。 申請者は採択後に所属変更となったため、旧所属と新所属での業務の差により、研究遂行のための時間分割の見積もりに誤差が生じた。これにより想定通りに進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
遅延理由となる時間分割の見積もりの誤差は昨年度でほぼ修正できており、本年度には1年目の予定である評価の完了および大概発表を済ませるとともに、2年目の中頃までの目標としていたノード内の負荷分散を想定したプロセスの最適な配置を提供するライブラリの開発および、Intelライブラリ以外で動作するよう、現状のライブラリ改良を行う予定である。 また、簡易的な検証ではライブラリが必要とする無次元化されたパラメーターの策定が非常に重要なことが分かってきている。アプリケーションによって、演算速度、メモリの転送速度、ネットワークの速度のいずれがボトルネックになるかが異なる。基本的に演算量は完全に見積もることができるため、演算速度がボトルネックとなるアプリケーションの負荷均衡は容易である。一方で、メモリやネットワークバンド幅律速となるアプリケーションでは、これらを均衡化するパラメータの算出が困難である。メモリバンド幅律速なアプリケーションでは、演算量だけでなく、プロセス毎のキャッシュミス率(メモリからのデータ転送量)を、ネットワークバンド幅律速なアプリでは、プロセス毎のデータ転送量や回数も考慮して、適したパラメータを算出しなければならないためである。本年度はこれらのアプリケーションでのパラメータ算出方法についての研究も行っていく。
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Causes of Carryover |
進捗の遅延により、昨年度に予定した対外発表を行うことができなかった。本年度には対外発表のために、繰り越した予算を旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)