2019 Fiscal Year Research-status Report
公共的意思決定過程の委員会における意見の構造の把握手法の開発
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18K18237
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
岩見 麻子 法政大学, 地域研究センター, P・D (80750017)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発話分析 / 応答関係 / 可視化 / ネットワークグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,公共的意思決定策定過程の委員会における議論で各委員が主張した意見や考え方など態度,その対立,合意に至るまでの過程など意見の構造とその変遷を把握および可視化するためのテキストマイニング手法を開発することを目的としている.形態素解析に使用しているソフトウェアの限界から,文末モダリティを本研究に適用することは困難であることが考えられたため,2019年度は発言の応酬に着目した属性間の応答関係を可視化し把握する手法と,VRM(Verbal Response Modes)などの発言をカテゴライズし会話の展開を分析する会話分析の手法の適用可能性について検討した.具体的には,委員長の交代に基づく5つの会期を時系列の分析単位として,属性ごとに他の属性の前後に発言した「応答回数」を把握し,ネットワークグラフを用いて可視化するとともに,可視化した応答回数に特徴的な傾向が見られた会期について,予備的検討として発言の応酬のまとまりを取り出し例示的に会話分析の手法を適用し発言のタグ付け(分類)を試みた. その結果,まず1,3,5会期においては,議論の進行役である委員長を介して議論が進んでいたのに対して2,4会期においては属性間で直接的な発言の応酬が多く見られ,特に4会期においては他の会期とは議論の構造が異なっていたことがわかった.このことから1会期と4会期それぞれについて,一部の発言を抽出し例示的に会話分析を適用した.その結果,1会期では「コメント・意見」「知識・説明」「質問」「応答」に分類される発言が多かったのに対して4会期では「同意」「反対」「確認」が増加しており,議論の展開に違いを示すことができ,会話分析の手法を適用する有効性を示せた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は予定よりやや遅れる研究進度となった.これは,当初適用することを想定していた文末モダリティに代わる手法として会話分析の適用可能性を検討する作業に時間を要したためである. 2019年度は会話分析の手法の適用可能性を検討するともに,対象とする発言の全てについてタグ付け作業を完了させるところまで到達した.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に行った各発言のタグ付け作業の結果を用いて,人工知能技術などを用い議論の構造を把握・可視化する手法を検討する.これまでに用いる手法の検討に時間を要したため,対象とする議事録から議論の構造を可視化し把握することと,他の議事録への適用に向けた示唆を得ることを目指して研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
参加予定であった研究会の開催が中止となったことから次年度使用額が生じた. 本研究の成果を発表するための投稿料や学会参加費,旅費などとして支出する.
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