2018 Fiscal Year Research-status Report
多層ネットワーク構造形成によるフード・ツーリズムの持続性に関する研究
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18K18282
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Research Institution | Shumei University |
Principal Investigator |
飯塚 遼 秀明大学, 観光ビジネス学部, 講師 (80759522)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農村 / フード・ツーリズム / アクターネットワーク / 観光地域 / ヨーロッパ / 地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代ヨーロッパ農村におけるフード・ツーリズムを構成する多層レベルのアクターの役割と、それらの関係性についてアクターネットワーク理論の観点を応用して明らかにすることを目的とする。研究初年度としては、センサスデータや観光統計、商業統計といった各種統計データと、先行研究から事例対象地域の選定を行い、ベルギー・西フランデレン州およびリンブルフ州を主要対象地域と設定した。また、西フランデレン州とともに国境を越えた広域の観光地域を形成する取り組みを行っているフランス・ノール県も対象地域として加えた。それらの対象地域においてジェネラルサーベイと予備的調査を行い、フード・ツーリズムに関する基礎的資料の収集のほか、関係諸機関との調査協力体制の構築やフード・ツーリズムの動向に関する聞き取りを行った。本年度の調査を通じて、対象地域におけるフード・ツーリズム関連アクターがリストアップできたほか、フード・ツーリズムの展開に伴う就業構造の変化、宿泊施設やレストラン、カフェ、その他の観光関連施設の分布の推移、土地利用変化などの社会経済的概要やフード・ツーリズムに対する取り組み状況について把握することができた。さらに、得られたデータについてGISを活用して空間的に分析し、対象地域内での地理的差異を可視化した。本研究全体のイントロダクションとして、本年度の活動から得られた成果をもとに国内外の学会等において公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象地域におけるフード・ツーリズムやそれに関連する基礎的資料が得られており、予備調査を通じて現況や概要も把握できている。また、次年度以降につながる関係諸機関との協力体制も得られていることから、おおむね当初の予定通り進歩しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度収集した資料やデータの分析を進めて精緻化を図るほか、それらのデータ補足も兼ねて事例地域において、より踏み込んだ調査を行う。予定としては民間アクターを中心に聞き取りを行い、民間アクター間および公的アクターとの関係性について明らかにしていく。また、並行してツーリズムの発展にともなう地域変容を捉えるために農村景観調査も行う。さらに、リンブルフ州についてはオランダ側の自治体との広域観光地域の形成状況についても捉えていく。今年度の調査データを含め、新たな知見を加えて研究成果を論文や学会発表において順次公表していく。
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