2018 Fiscal Year Research-status Report
住まいの屋外空間における生活者によるデザインの実態とプロセスの研究
Project/Area Number |
18K18319
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
堤 涼子 多摩美術大学, 大学院美術研究科, 助手 (10816135)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生活者のデザイン / 住まい / 屋外空間 / 庭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、庶民の生活における住まいの屋外空間を対象に、空間構成、意匠、使用方法、住意識、時代的変遷を捉え、そのデザインプロセスと実態について解明していく。デザインの専門家が関わっていない生活空間に対し、生活者のデザインをデザインの系譜に位置付けることを目的としている。文献調査に加え、実測や聞き取りなどの手法を用いた実踏調査により事例収集を行う。長い時間をかけて経験則から生み出された、その生活者によるデザインを評価し、学ぶことで、文化財の活用やこれからの生活に資するデザイン研究を目指す。本研究で明らかにする課題は、① 実測調査及び聞き取り調査による実態の把握、事例収集、② 資料文献調査による事例収集、③ ①、②を踏まえた生活者によるデザインプロセスの検証である。 既に申請者は基礎研究として、埼玉県、茨城県、福島県、和歌山県、石川県、兵庫県の住まいの屋外空間を調査し、実態とデザインプロセスを検証している。その基礎研究を基にさらに実測調査を行い、聞き取り調査によって、生活者のデザインの条件とそのプロセスを明らかにする。また、研究資料など文献による事例収集を行う。当初の計画どおりに研究が進まない時などの対応としては、文献調査を行いまずは広範な事例収集とデザイン分析を優先する。 平成30年度は、基礎調査を行なっている調査地である福島県および和歌山県の聞き取り調査と共に、資料収集などの研究環境の整備や追加調査の為の資料収集や調査対象となる住まいの選定を行った。主に上記①の聞き取り調査による実態の把握、事例収集と②を中心的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画どおりに研究が進まなかったため、文献調査を行い、まずは広範な事例収集とデザイン分析を優先とした。計画通りに進まなかった主な理由として、本研究課題にて予定している住まいにおける屋外空間の実測と聞き取りについて、平成30年度に予定していた一部調査対象者との都合が合わなかった為、また、実測調査について申請時には光波測距儀の使用や平板測量による実測およびCADによる図面作成を想定していたが、庭園における実測技術研究の現状を鑑みドローンを使用した空中測量およびスキャンによるデータの取り込みへ変更を検討を行っていた為、該当期間は聞き取り調査が可能な地域の予備調査にとどまり、実測および図面作成は次年度以降とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き、① 実測調査及び聞き取り調査による実態の把握、事例収集、② 資料文献調査による事例収集、③ ①、②を踏まえた生活者によるデザインプロセスの検証を行なう。調査対象者との都合が合わなかった場合などは文献調査による広範な事例収集とデザイン分析を行う。また、①の実測調査について、庭園実測の専門家に技術的な助言をうけ実測調査を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、平成30年度に予定していた埼玉県、茨城県の聞き取り調査と福島県、茨城県、埼玉県の実測調査を行わず、調査対象者と都合のついた令和元年度に予定していた和歌山県、兵庫県の予備調査を行った為である。令和元年度は平成30年度に行わなかった聞き取りおよび実測調査と令和元年度に予定していた和歌山県、兵庫県の実測調査を行う予定であり、それら地域への旅費として使用する。また、調査対象者の都合等により調査がうまく進まなかった場合は文献調査を行い、まずは広範な事例収集とデザイン分析を優先する為、消耗品費による書籍購入を行う。また、実測調査について庭園実測の専門家に技術的な助言をうけ実測調査を遂行する予定であり、実測技術の変更により不要となる人件費・謝金は実測機器などの備品購入費として使用予定である。
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