2019 Fiscal Year Research-status Report
デジタル半導体PET装置による被曝低減・定量精度向上を担保した画像構築法の開発
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18K18412
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
孫田 惠一 北海道大学, 大学病院, 副放射線技師長 (20636419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PET / デジタル半導体素子 / 定量精度 / 放射線被曝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、初年度に引き続き人体模型ファントムを用いた基礎的検討を行った。PETの画質評価で標準的に用いられる脳および体幹部を模したファントムを撮像し、画像再構成アルゴリズム・減弱/散乱補正法・ピクセルサイズ・逐次近似再構成法の繰り返し計算回数・平滑化フィルタを変化させ画像再構成を行い、画像コントラスト、画像ノイズ、散乱補正評価を行った。本研究の目的の一つである低投与量(低被曝量)状態もシミュレートした条件下における評価も合わせて行った。これらの検討により、画像再構成条件の最適化がなされ、デジタル半導体素子を搭載したPET装置を用いることで腫瘍などへの集積に対する検出能が向上し、従来装置では判別が難しいコントラストの低い集積を明瞭に描出できることを見出した。また、投与量を従来の半分程度まで減じても十分に画質および定量性が担保できることも明らかにした。さらに、散乱線の増加などにより画質が劣化しやすい体格の大きな患者を模したファントムを作成し、より厳しい条件下での評価を行うことで最適化された撮像・画像再構成条件を微調整することが必要であることがわかった。これらの検討の中で、従来装置とデジタル半導体素子搭載PET装置では定量精度に影響を与える散乱補正アルゴリズムが異なることが判明したため、基礎的な検討を追加した。尚、当初の予定では健常ボランティアにおける撮像条件および画像再構成条件の最適化を行う予定であったが、倫理委員会への申請および認可されるまでに期間を要すると判断したため割愛することとし、人体における評価は臨床検査として撮像された患者画像を用いて行うこととした。患者画像の評価は現時点では十分に行っていないが、少数例を用いた検討では概ね人体模擬ファントムで得られた結果と同じ傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画において、本年度は健常ボランティアによる確認試験を行う予定であった。しかし、本装置の導入が計画段階より大幅に遅れたことと、倫理委員会への申請状況を鑑み、健常ボランティアによる検討は割愛した。先行研究においては、必ずしも健常ボランティアを用いた検討はなされていないことから、患者データのみでも十分に検討可能であると判断した。また、体格の大きな患者を模したファントムなどを用いることでより詳細は物理的基礎検討を追加することとした。また、患者データについては次年度前半までには計画していた予定数に達する予定であり、十分に検討を行う時間的な猶予があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度および今年度に行った人体模擬ファントムによる基礎検討結果は、既に関連学会での発表を行い、一部は論文化し既に投稿中である。本年度は、さらに更に詳細な物理実験を加え、患者データによる検討を行う予定である。 現状、人体模擬ファントムによる検討では、投与量を半分程度まで減じることができることが判明しているが、患者データを加えて評価することでさらに減じることが可能かどうか検討する予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に新型コロナウイルスの影響で中止となった学会での発表に関する旅費分による。翌年度に中止となった学会での再発表で使用する計画である。
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Research Products
(3 results)