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2018 Fiscal Year Research-status Report

デザインされる生態環境とその社会的影響に関する科学技術社会論的研究

Research Project

Project/Area Number 18K18436
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

立川 雅司  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40356324)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 大塚 善樹  東京都市大学, 環境学部, 教授 (10320011)
Project Period (FY) 2018-06-29 – 2020-03-31
Keywordsゲノム編集技術 / 生態環境のデザイン / ジーンドライブ / 人新世
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、ゲノム編集やジーンドライブ、合成生物学などのライフサイエンスの革新により、様々な生物に対する人為的な介入が可能となり、生態環境がデザインされていく領域が拡大(デザイナーベビーの環境版)していく現代において、「社会と環境との関係性」をめぐってどのような課題が登場しつつあるのか、多様な社会変化に対する予期的理解と研究領域について明らかにすることを目的としている。
2018年度においては、ゲノム編集技術(ジーンドライブなど)の農業環境分野への応用動向に関して、研究集会への参加や研究者へのインタビュー調査などにより情報収集を行うと共に、近年の新たな環境観として人新世(Anthropocene)をめぐる研究動向を把握した。人新世とは、人間活動が地球規模での環境変動をもたらしており、この意味で新しい地質年代に入りつつあるとする考え方で、不安定化する地球環境に対して、人間や科学技術の役割がますます重要になるという議論と結びつけて議論される。環境への人間の介入には大気化学から生態系まで様々な分野が想定されており、本研究で焦点を当てている生態環境への介入も含まれる。こうした生態環境への介入は、人工と自然の線引きを曖昧にしつつあり、こうした方向性は、「良き人新世」とよばれる言説として流布しつつある。また生態系への介入を可能とするゲノム編集技術に関しては、デュアルユース問題も具体的に議論されつつある点も明らかになった。
来年度は、引き続き、国内外における研究者に対する調査(半構造化インタビュー)を行うと共に、ゲノム編集技術の開発および応用動向に関して、海外調査を実施する。また生態系に対する介入が様々な形でなされることで、国際間や地域間で環境保全や安全管理(ガバナンス)についての考え方が多様化していく可能性がある点に関して、海外の研究者との情報交換を企画する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本課題に関連して、ゲノム編集技術や合成生物学の研究動向および社会導入に関する議論について調査することができた。また生態環境のデザインなどの介入を正当化する言説として、人新世やエコモダニズムという概念が自然科学と人文社会科学を通じて議論されつつあることが見いだせた。これらの研究動向とその広がりを理解するという点に関しては、初年度に広く情報収集を行うことができた。しかし、その成果を論文化するという点では遅れていることから、「やや遅れている」と評価した。

Strategy for Future Research Activity

来年度は、引き続き、国内外における研究者に対する調査(半構造化インタビュー)を行うと共に、ゲノム編集技術の開発および応用動向に関して、海外調査を実施する。また生態系に対する介入が様々な形でなされることで、国際間や地域間で環境保全や安全管理(ガバナンス)についての考え方の多様化について海外研究者との情報交換等を通じて検討する。
以上のような研究活動を通じて、こうした高度科学技術がどのような影響をもたらし、どのような問題として把握する必要があるのか(社会経済的課題、政策的課題、倫理的課題など)、多角的な理解をふまえて、課題整理を行う。その上でゲノム編集技術の環境分野での応用が社会の環境観にどのような影響をもちうるか、またそうした環境観が共有されることがどのような社会的・経済的・政策的含意をもつことになるのか、という点について検討し、人文・社会科学的視点およびレギュラトリー視点からの課題を明らかにする。最終的には、学術界や政策担当者に対して、考慮すべき論点や政策課題の提言など、社会的発信を行うことを視野に入れる。

Causes of Carryover

当初、2018年度内に実施する予定であったウェブアンケート調査に関しては、専門家に対するインタビューが未了であったために、翌年度に実施することとした。また、海外出張(アメリカ)に関しては、別の予算による充当が可能となったため、本科研費からは支出しなかった。そのため次年度使用額が生じた。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Presentation] 社会学の視点から―科学技術・持続性(食とエネルギー)・人新世―2019

    • Author(s)
      立川雅司
    • Organizer
      名古屋大学環境学研究科シンポジウム「Role of Science for Society(学術と社会):環境学の貢献」
    • Invited
  • [Presentation] 人新世(Anthropocene)と社会学2018

    • Author(s)
      立川雅司
    • Organizer
      日本学術会議社会学委員会フューチャーソシオロジー分科会
    • Invited
  • [Presentation] ゲノム編集生物をめぐる研究者と消費者の認識2018

    • Author(s)
      立川雅司
    • Organizer
      科学技術社会論学会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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