2019 Fiscal Year Research-status Report
Eye drop administration of recombinant serum lipoproteins for the treatment of age-related macular degeneration
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18K18460
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
村上 達也 富山県立大学, 工学部, 教授 (90410737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 華子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20372162)
高田 耕児 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (40530621)
安田 佳織 富山県立大学, 工学部, 講師 (70707231)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / リポタンパク質 / 治療用ナノ粒子 / 加齢黄斑変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(AMD)に対する点眼治療薬を高密度リポタンパク質(High-density lipoprotein, HDL)の変異体を用いて、開発することを目指している。今年度アクティブターゲティング能を付与させた新たな変異体を作製し、機能評価した。ターゲット受容体を発現している培養細胞を用いて取込能を比較したところ、新変異体の優位性が確認された。 昨年度、新たなHDL作製法(urea-assisted method)を見いだした。至適ウレア濃度におけるHDL構成タンパク質(apoA-I)の構造を、円偏光二色性スペクトル測定により調べたところ、ちょうど未変性ー変性転移中点濃度であることがわかった。この一致の一般性を検証するために、他2種類のapoA-I変異体を用いて、urea-assisted methodにおける至適ウレア濃度と転移中点濃度を調べたところ、いずれも両者は一致した。一方、転移中点以上のウレア濃度では、HDLの構造が崩壊することがわかった。HDLがapoA-Iとリン脂質から形成される過程では、apoA-Iのαヘリックス形成が熱力学的にHDL形成に有利に働く(エンタルピーの減少)ことを考慮すると、この濃度の一致は、エンタルピー減少とHDL不安定化の最適なバランスの結果と考えられた。さらにこのurea-assisted methodでは、薬物の同時搭載も可能であった。以上の結果をBiochemistry誌に原著論文として発表した。さらにHDLと眼疾患に関する査読付き招待総説論文をBiol. Pharm. Bull誌に発表した。 培養角膜上皮細胞と角膜実質組織構成成分のいくつかを用いて、角膜3次元組織を構築する研究を開始した。培養角膜上皮細胞単層の細胞間接着の程度を経上皮電気抵抗(TEER)測定装置で調べながら、条件検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HDL変異体の性能の改善に成功し、実生産に適した点眼製剤生産プロトコールを確立することにも成功した。角膜3次元組織構築に関しても、共同研究者の協力を得て、スタートさせることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新変異体のターゲット受容体発現細胞に対する取込に、ターゲット受容体が関与することをRNAi実験等で証明する。新変異体に薬物を搭載させ、AMDマウスモデルに対する治療効果を調べる。同時に、搭載薬物の用量依存性、新変異体自身の治療効果も調べる。搭載薬物の後眼部送達効率を、薬物単独と薬物搭載新HDL変異体との間でラット・ウサギを使って比較する。これらの結果により、新変異体の有用性を定量的に明らかにする。 細胞外マトリックスゲルの中で線維芽細胞を培養し、角膜実質組織モデルを構築する。その上部で角膜上皮細胞単層を形成させる。角膜上皮細胞単層のタイトジャンクション形成をair liftingにより促進させる条件を最適化する。また近年報告された角膜上皮細胞シート作製プロトコールも参考にしながら研究を進める。こうしてえられた角膜3次元組織に、後眼部モデル薬物送達能がわかっている数種類のHDL変異体を作用させ、透過性・組織内分布を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の主な内訳は、共同研究者の分担金によるものである。共同研究者との動物実験(具体的には、疾患モデル動物を用いた薬理評価)が、予期したより少なかったためだと考えている。これには角膜3次元組織構築研究のスタートアップに、予期していた以上に、時間がかかったことも影響している。最終年度は、両者のバランスを取り、効率よく研究推進に努めたい。
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Research Products
(11 results)